「熊本県立美術館所蔵 今西コレクション肉筆浮世絵の世界 アナザーワールド発見!」岡山県立美術館

無款《美人観月図》

名称:開催延期!「熊本県立美術館所蔵 今西コレクション肉筆浮世絵の世界 アナザーワールド発見!」岡山県立美術館
会期:2021年11月13日(土曜日)から12月19日(日曜日)まで2021年5月21日(金曜日)から7月4日(日曜日)
開館時間:9:00~17:00(入館は16:30まで) 

休館日:月曜日
観覧料:当日券
  一般:1200円、65歳以上:1000円*、高校生・大学生:500円*、中学生以下:無料*
  *学生証やシルバーカード等、年齢が確認できる証明書をご提示ください
主催:岡山県立美術館、山陽新聞社
後援:岡山県教育委員会、岡山市教育委員会、公益社団法人岡山県文化連盟、岡山県郷土文化財団、一般財団法人岡山県国際交流協会、OHK岡山放送、RSK山陽放送、TSCテレビせとうち、RNC西日本放送、KSB瀬戸内海放送、oniビジョン、FM岡山、レディオモモ
住所:〒700-0814 岡山県岡山市北区天神町8-48
086-225-4800
URL:岡山県立美術館
 肉筆浮世絵とは、江戸時代に庶民間に広く流行した浮世絵版画に対し、絵師が絵筆をとって描く一点限りの絵画のことです。希少性が高く富裕層に愛された肉筆画と、多数の複製を安価で提供する版画とは、同時期にそれぞれの進化を遂げました。本展は今西コレクションの中から厳選された約130点を展示し、美人画や役者絵など江戸文化とともに花開いた肉筆浮世絵の魅力を余すところなく紹介します。花魁や遊女、町娘など美人たちの競演や、ダンディな歌舞伎役者、四季折々の行事や遊び、名所風景など見所満載です。

蹄斎北馬《橋上群衆図》
蹄斎北馬《橋上群衆図》
歌川豊国(初代)《遠目鏡美人図》
歌川豊国(初代)《遠目鏡美人図》
耳鳥斎《地獄図巻》
耳鳥斎《地獄図巻》

鑑賞のおすすめポイント

 肉筆浮世絵とは、江戸時代に庶民間に広く流行した浮世絵版画に対し、絵師が絵筆をとって描く一点限りの浮世絵のことです。希少性が高く富裕層に愛された肉筆画と、多数の複製を安価で提供する版画とは、同時期にそれぞれの進化を遂げました。
 熊本市に在住した故今西菊松氏が収集した肉筆浮世絵コレクションは、多くの浮世絵師たちの作品を網羅したもので、熊本県立美術館に寄贈され、同館所蔵品のひとつの柱となっています。本展ではこの中から厳選された名品約130点を展覧いたします。
 その中から幾つかの見どころをご紹介します。

その1: 美人たちの競演 ―江戸時代の華―

 出品作の半数以上を占めるのが美人図です。描かれたのは花魁、遊女、町娘など様々ですが、小袖や打掛、帯といった衣装に着目すると、四季折々の草花や幾何学文様などが取り入れられており、色彩も豊かです。また春信が錦絵を始めた頃は華奢で可憐な美人が流行しましたが、それに先行する懐月堂派は堂々としたポーズをとる女性を動きのある筆線で描きました。歌麿派のスレンダーな八頭身美人たちもいれば、英泉ら幕末の浮世絵師らは鼻筋通ったつり目であざとい表情の美人図を手がけています。時代を追って変遷していく女性表現や、ファッションや化粧の流行などに注目しながら見ると楽しみも倍増します。

その2: 江戸時代のイケメンたち ―ダンディズム―

 《若衆図》のような男性は、江戸時代初期に派手な身なりで伊達を競い、目立つ行いをして「かぶき者」と呼ばれました。大小(刀)を腰に差しつつも、龍虎に波模様を配した派手な衣装に身を包み、後ろを振り向く立姿は恰好良く決まっています。浮世絵版画において歌舞伎役者がプロマイド的な役割を果たしたように、肉筆浮世絵においても人気役者が次々と画題にされました。鳥居清信門人清忠《歌舞伎鞘当不破図》や歌川豊国《松本幸四郎仁木弾正図》など当時のヒーローがよみがえります。

その3: 見立図に込められた意味 ―和漢の古典を当世風にアレンジ―

 日本の古典文学や中国の故事などを当世風に置きかえ、謎解きを楽しみながらの鑑賞が江戸時代に流行しました。描かれているのは江戸時代の男女なのに、奥に様々な物語が潜んでいる「見立図」。今回の出品作の中には、浄瑠璃姫と牛若丸、小野道風、女三ノ宮、宇治川合戦、忠臣蔵、中国故事では玄宗と楊貴妃、四睡といった画題の作品があります。会場内で物語とともに楽しんでください。

その4: 鍬形蕙斎《隅田川図》 ―お江戸ツアーの楽しみ―

 《江戸一目図屏風》(津山郷土博物館蔵)のレプリカが東京スカイツリーに設置されたことが話題を呼んだ鍬形蕙斎(1764-1824)は、美作国津山藩御用絵師であり、唯一といってよい岡山ゆかりの浮世絵師です。別名北尾政美といい版画や版本も手がけましたが、肉筆の鳥瞰図がよく知られています。本図は隅田川両岸に広がる景観を爽やかな色彩で表現したもので、遊覧船に乗って楽しむかのように江戸時代当時の風情を味わえます。また蕙斎は『略画式』シリーズを手がけましたが、その図案集のような絵手本は、葛飾北斎の『北斎漫画』にも影響を与えています。次項の耳鳥斎とも共通した表現が見られるため、関連づけて展示します。

その5: The 戯画 耳鳥斎《地獄図巻》 ―こわいけどユーモラス―

 近年「戯画」をテーマにした展覧会がブームですが、それらに必ずと言っていいほど登場するのがこの耳鳥斎です。豆腐屋は圧搾機で絞られ、歌舞伎役者は大根をくわえさせられ、吹矢師は的にされといった具合に、13メートルの巻子に軽妙な筆致で描かれた31種類の地獄が繰りひろげられます。恐ろしいはずの地獄の数々は、滑稽で愉快に表されており、贋金師や相撲取り、飴屋など職業や趣味に応じて鬼から責め苦を受ける人々の姿が、見る人の笑いを誘います。

その6: 江戸VS上方(京・大坂) ―プライドの対決―

 浮世絵の歴史をたどれば「洛中洛外図」に始まります。京の都のにぎわいを描いたものですが、個々の場面をクローズアップすると歌舞伎小屋や遊里、名所での遊楽の様子が描かれています。さらに個々の人物を独立させ、美人や歌舞伎役者等をテーマとするようになったのが浮世絵です。一方江戸では浮世絵の創始者とされる菱川師宣が、絵入り本から絵を独立させて1枚摺の版画を始め、肉筆画も描きました。その後浮世絵は江戸で大流行しますが、京の祇園井特、三畠上龍らのアクの強い独特な女性表現も興味を誘います。その他江戸と上方の表現の違いを見つけてみてください。

その7: 流派対決 ―歌川派や葛飾派―

 葛飾北斎(1760-1849)は勝川春章に師事し、はじめ勝川春朗と名のりました。勝川春章は宮川長春に学びましたので、宮川派―勝川派―葛飾派とつながります。それぞれの流派においては、例えば菱川派や葛飾派など、師そっくりに描く工房制作が繰り広げられる場合がよくありました。歌川広重に代表される歌川派VS葛飾派など、同時期に腕を競ったライバル同士の作品を見比べたり、その流派の特徴や共通点を探すのも興味深いです。

無款《美人観月図》
無款《美人観月図》
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