「包む-日本の伝統パッケージ」目黒区美術館

「包む-日本の伝統パッケージ」目黒区美術館

名称:「包む-日本の伝統パッケージ」目黒区美術館
開催期間:2021年7月13日(火)~2021年9月5日(日)
休館日:月曜日 ただし、8月9日(月・祝)は開館し、8月10日(火)は休館
時間:10:00〜18:00(入館は17:30まで)
主催:公益財団法人目黒区芸術文化振興財団 目黒区美術館
住所:〒153-0063東京都目黒区目黒2-4-36
TEL:03-3714-1201
URL:目黒区美術館

「包む-日本の伝統パッケージ」目黒区美術館
「包む-日本の伝統パッケージ」目黒区美術館

 日本のデザイン黎明期に、わが国の伝統的なパッケージの収集と研究を続け、「TSUTSUMU(包む)」という言葉とともに大きな足跡を残したデザイナー、岡 秀行。木・竹・藁・土・紙―自然素材のパッケージに向けた岡の眼差しから見えてくる、「包む」ことに日本人が込めた想いや手わざの美を、当館所蔵の岡のコレクションによりご紹介します。

岡 秀行の視点

 岡が収集した「伝統パッケージ」の特徴は、木、竹、笹、藁などわが国の風土に育まれた自然素材や、陶器、 和紙、絣(かすり)など、古来、日本人に馴染みある素材が使われている点がまず挙げられます。  
 そして、デザインの観点から言うと大きく二つに分けられます。一つは、「生活の知恵の結晶として生み 出された形」であるということ。実用性に重きをおき、余計なものが省かれた、シンプルな造形美と機能美 を見い出せます。もう一つは、伝統の技と言っても良い「高度な包装技術と美的感覚を持つもの」であると いうこと。“包むこと”自体に重要な意味づけをしてきた日本人の美意識と、“いかに美しく包むか“という 職人や作り手のプライドと手わざの美を見い出せます。  
 収集を始めた当初は、パッケージの “かたち” の美しさそのものに魅力を感じていましたが、「包むこと について考えるのは、人間の生活のすべてについて考えることに他ならない」(岡秀行「包装の原点」『包』 毎日新聞社刊、1972 年)と言うように、岡のまなざしは、しだいに“かたち”の奥にひそむ日本人の「心」へと 注がれていきました。

岡 秀行(おか・ひでゆき) 1905-1995
 1905 年、福岡県生まれ。 1923 年に上京し、川端美術学校で洋画を学ぶ。 1935 年、図案と 写真撮影を行う「オカ・スタジオ」を銀座に設立。アートディレクター・システムを導入 したデザイン事務所の草分けとなる。戦後は、グラフ雑誌、宣伝広告、ポスターなどのデ ザインを広く手がけるほか、図案家のための職能団体確立に尽力。 1950 年の日本宣伝美 術会の設立に協力、1952 年には東京商業美術家協会(TCAA)を設立し、初代委員長に就 任、さらに 1962 年に地方 17 団体 326 人の図案家を結集した全国商業美術家連盟(ACA) を設立するなど、特に独立系の図案家の職能と地位の確立を目指した。  
 一方で、1950 年代より日本の伝統パッケージの収集と研究をはじめ、1964 年に全国商 業美術家連盟(ACA)の第 1 回企画展として伝統パッケージを展示。その後、写真集『日本 の伝統パッケージ』(美術出版社、1965 年)や、『包』(毎日新聞社、1972 年)を出版。 1975 年、 岡 70 歳の時に、ニューヨークから始まり世界巡回した「TSUTSUMU」展は 10 年以上にわ たり 28 カ国で開催され、日本の公立美術館では、1988 年に目黒区美術館の「5 つの卵はい かにして包まれたか―日本の伝統パッケージ」展で初めて紹介された。

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