「エキシビジョン・カッティングス」マチュウ・コプランによる展覧会-メゾンエルメス8階フォーラム
- 2021/5/9
- 東京
- エキシビジョン・カッティングス, マチュウ・コプラン, メゾンエルメス8階フォーラム
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名称:「エキシビジョン・カッティングス」マチュウ・コプランによる展覧会-メゾンエルメス8階フォーラム
会期:2021年4月23日(金)~7月18日(日)
開館時間:11:00~19:00(最終入場18:30)
休館日:4月25日(日)~当面の間
※ギャラリーは基本、銀座店の営業に準じております。
再開の日程が決まりましたら、またこちらでお知らせさせて頂きます。
ご迷惑おかけしますが、ご理解のほど何卒宜しくお願い申し上げます。
入場料: 無料
会場: 銀座メゾンエルメス フォーラム 8階
(中央区銀座5-4-1 TEL 03-3569-3300)
主催: エルメス財団
後援: 在日フランス大使館/アンスティチュ・フランセ日本
住所:〒104-0061東京都中央区銀座5-4-1
TEL:03-3569-3300
URL:メゾンエルメス8階フォーラム
エルメス財団はロンドンを拠点にするフランス/イギリス人キュレーター、マチュウ・コプランによる日本で初の展覧会「エキシビジョン・カッティングス」を開催いたします。マチュウ・コプラン(1977年生まれ)は、2003年から展覧会というプラットフォームを用いながら、どのようにその伝統的な役割や枠組みを揺るがすことができるかに挑み、新たな展覧会の体験や知覚を提案するような実践を続けてきました。例えば、共同キュレーションの展覧会であった「Voids. A Retrospective(空虚。回顧展)」(ポンピドゥー・センター、パリ、2009年/クンストハレ・ベルン、2009年)では、ギャラリー空間を空にすることを試みた歴代の展覧会を回顧展形式で再訪しました。完全なる空虚(無)としての展覧会の体験は大きな議論を呼びました。また、単独キュレーションでは「A Retrospective of Closed Exhibitions(閉鎖された展覧会の回顧展)」(Fri Art クンストハレ・フリブール、2016年)にて、アーティストの表現として閉鎖された歴代の展覧会を取り上げました。後者は、本展でも、ドキュメンタリー映像作品として改めて紹介されます。
本展「エキシビジョン・カッティングス」は、「カッティング(Cutting)」という言葉の持つ、二つの意味から構想されています。一つは、植物の「挿し木・接ぎ木」を示すもので、有機体が人工的に生命を育むことをメタファーとしています。これは、ある作品が一時的に切り取られて、展覧会の場所に移植され、その期間を通じて、鑑賞者とともに育まれるつかの間の生態系を暗喩するものとして理解することができるでしょう。また、もう一つは、新聞などの切り抜きや映画などの編集作業の意味で、過去に行われた展示のアーカイブから文字通り「カッティング」して制作を続けるコプランの身振りを示すものになります。
育まれる展覧会
「挿し木・接ぎ木」を参照する最初空間では、音に満たされた環境が立ち上がります。楽曲は、急進的なミニマル・ミュージックの巨匠の1人であり、持続音を多用する音楽(ドローン・ミュージック)で知られるフィル・ニブロックが本展のために書き下ろしたものです。全六曲は、アンサンブルIRE、ディヴィッド・マランハ、スティーヴン・オマリー、デボラ・ウォーカー、エリザベート・スマルトによって演奏され、うち一曲「Exploratory, Rhine version – “Looking for Daniel” 探索(ライン川編〜ダニエルを探して)」は、日本のヴォーカル・グループVox humana(ヴォクスマーナ)によって、パンデミックの中、東京で演奏、録音されました。音楽、そしてギャラリーに満ち溢れる自然光、西原尚らによる木製の展示什器は、福岡正信自然農園から届けられ、スペースの中央に置かれた土と甘夏の苗を育成します。福岡正信の「わら一本の革命」はこの土から始まりましたが、根源的でラディカルな哲学は、多くの絶滅危惧種や気候変動に抗する最も有効な手だてとして、今日までも果実を結び続けています。自然は育まれ、同時にある「環境」を作り出します。その肥沃な土壌においては、土や木は展示されるにとどまらず、究極的には(環境を)展示してもいるのです。
アンチ・ミュージアム:アンチ・ドキュメンタリー
フィリップ・デクローザの絵画で始まるもう一つの空間では、ドキュメンタリー映像作品《The Anti-Museum: An Anti-Documentary》を通じて、コプランの「閉鎖された展覧会の回顧展」を再訪します。昨年から続く新型コロナの影響で、多くの文化施設で閉鎖が余儀なくされました。ここでは、アーティストが芸術行為、あるいは自らの決断において展示を閉鎖した歴史とその意味を問い、アートや展示空間における制度の限界や議論を再構築しようと試みます。ナレーションはヘンリー・ロリンズ、サウンドトラックはFMアインハイトが参画しています。
コプランは、挿し木や切断、編集といったキーワードを用い、ミニマルな美学で展覧会という場のもつ可能性を問いかけます。異種混合の新しい生命体が、豊かな生態系を育んでゆく環境はここでどのように体験されるのでしょうか。
アーティストプロフィール Artist Profile
フィリップ・デクローザ Philippe Decrauzat
(1974年、スイス生まれ)
ペインター、映像作家。作品は、チューリッヒ美術館、ブエノスアイレス現代美術館(MBCBA)、ニューヨーク近代美術館(MoMA)、ポンピドゥー・センターやパリ市立近代美術館に所蔵されている。
F・M・アインハイト FM Einheit
(1958年、ドイツ生まれ)
インダストリアル・ミュージックの音楽家、俳優。アインシュテュルツェンデ・ノイバウテンの共同結成者で、元メンバーである。
アンサンブル IRE Ensemble IRE
IREはパリを活動拠点とするアンサンブル。カスパー・トプリッツとフランク・ヴィグルーが、エレーヌ・ブレシャンとフィリップ・フォシュ、そしてクリストフ・ルッチュを迎えて結成された。
ディヴィッド・マランハ David Maranha
(1969年、ポルトガル生まれ)
前衛的な音楽家であり、アーティスト。オッソ・エキゾティコとの作品や、ゼヴやシュテファン・マチュウ、さらにフィル・ニブロック、ディヴィッド・グラブス、そして鈴木昭男とのコラボレーションで知られる。
西原 尚 Nao Nishihara
(1976年生まれ)
音を主軸に、美術制作とパフォーマンスを行なっている。音を鳴らすために必要な体や物へと関心事項や制作動機は展開し、同時に活動領域は美術や音楽を横断し拡張している。国内外の展覧会やパフォーマンスイベントに参加。
スティーヴン・オマリー Stephen O’Malley
(1974年、アメリカ合衆国生まれ)
ギタリスト、プロデューサー、作曲家、そしてヴィジュアルアーティスト。ドローン・ドゥーム、デス/ドゥームなど実験的な音楽グループに多数参加し、その概念を構築した。Sunn o)))の活動で最もよく知られる。
ヘンリー・ロリンズ Henry Rollins
(1961年、アメリカ合衆国生まれ)
音楽家、歌手、俳優、プレゼンター、コメディアン、作家、出版発行人、そしてアクティビスト。ハードコアパンクバンドState of Alertでボーカルを務め、Black Flag(1981〜1986年)や、1987年に結成したRollins Band(1987-2003/2006)でも活動した。
エリザベート・スマルト Elisabeth Smalt
(1964年、オランダ生まれ)
ヴィオラ奏者。室内楽を専門とし、古楽器による演奏から、最先端の音楽まで、幅広い表現様式を持つ。
ヴォクスマーナ Vox humana
1996年、西川竜太の呼びかけにより、東京芸術大学声楽科有志で設立された1人1パート編成による声楽アンサンブル。「ヴォクスマーナ(Vox humana)」はラテン語で「人の声」を意味し、「声」による新しい音楽創造の可能性を探求している。ルネサンス以前のポリフォニー音楽と20世紀以降の現代曲をレパートリーの中心に据えている。
デボラ・ウォーカー Deborah Walker
(1981年、イタリア生まれ)
パリを拠点に活動するチェリスト。ニュー・ミュージックの即興演奏家でもある。
ゲストキュレーター Guest Curator
マチュウ・コプラン/Mathieu Copeland
マチュウ・コプラン(1977年生まれ)はロンドンを拠点にするキュレーター。伝統的な展覧会の役割を覆し、認識を刷新するような実践を続けている。主な共同企画の展覧会として「Voids, A Retrospective」(ポンピドゥー・センター、パリ、2009年/クンストハレ・ベルン、2009年)、とこれに併せた出版企画『Voids: A Retrospective』(編著。JRP| Ringier、2009年)がある。主な企画展に、「The Exhibition of a Dream」(カルースト・グルベキアン財団、リスボン、2017年)、「A Retrospective of Closed Exhibitions」(Fri Art クンストハレ・フリブール、2016年)、映画のための映像特集としての展覧会『The exhibition of a film』(テートモダン、ロンドン、2015年)、「Gustav Metzger: Supportive 1966-2011」(リヨン現代美術館、2013年)、「Mandala Mental」(MUAC、メキシコ・シティ、2013年)、「Soundtrack for an Exhibition」(リヨン現代美術館、2009年)、「A Choreographed Exhibition」(クンストハレ・ザンクトガレン、2007年/ラ・フェルム・ドゥ・ビュイソン、ノワジエル、2008年)、「Alan Vega: Infinite Mercy」(リヨン現代美術館、2009年)、「Exhibitions to Hear Read」(MoMA、NY、2013年)や、シリーズの展覧会「A Spoken Word Exhibitions」(2007年~進行中)など。2012〜2013年、ジュ・ド・ポーム国立美術館のキュレーター、2014〜2015年、ル・プラトー現代アートセンターのゲストキュレーターを務める。主な著書に『Gustav Metzger- Writing(1953/2016)』 (JRP| Editions、2019年)、『The Anti-Museum』(Koenig Books、2017年)、『Choreographing Exhibitions』(Les Presses du Rél、2013年)、『Gustav Metzger- Writing(1953/2016)』 (JRP| Editions、2019年)など。
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