「河野扶展-向うからやってくるもの─作意を捨てて」東御市梅野記念絵画館

「河野扶展-向うからやってくるもの─作意を捨てて」東御市梅野記念絵画館

名称:「河野扶展-向うからやってくるもの─作意を捨てて」東御市梅野記念絵画館
会期:2021年 8月8日 – 10月17日
開館時間:午前9時30分から午後5時(入場は午後4時30分まで)
休館日:月曜日
  月曜日が祝祭日の場合は、翌火曜日が休館になります。
  祝日の翌日、展示替え期間なども休館いたします。
住所:〒389-0406長野県東御市八重原935-1 芸術むら公園
TEL:0268-61-6161
URL:東御市梅野記念絵画館

「河野扶展-向うからやってくるもの─作意を捨てて」東御市梅野記念絵画館
「河野扶展-向うからやってくるもの─作意を捨てて」東御市梅野記念絵画館

江戸時代に上方貿易の港として栄えた宮崎県美々津(現在の日向市南部)で、代々藩医を務めた家に生まれた河野扶は、京都第三高等学校を経て東京帝国大学で数学を学び、数学の教師をしながら生涯を通じて絵を描き続けました。
戦後の日本美術界は西洋から抽象絵画が怒涛の如く流入し、1950年代後半からはアンフォルメルという絵画様式が洋画界を席巻しました。具象絵画を描いていた河野扶もまた、絵具を厚く盛り上げた抽象に転向します。
そして1980年代後半になり、70歳を超えた河野扶は、特異な境地にたどり着きます。
かつて身につけた厚塗りの技法をもとに、キャンバスに絵具を無作為に塗りつけ、乾いては削り、再び塗っては削るという繰返しのなかで、河野扶は画面から作意が抜け落ち、自分の意志ではなく他の何者かの指示で描かされていると感じる時があることに気づきます。それを河野扶は「向うからやってくるもの」と語りました。
「さりげない絵を描きたい。無技巧の技巧。むつかしいことだけれど」「画面からいかに作意を取り除くかが、恐らく私の生涯をかけての課題となるだろう」「茶室に懸けて少しの違和感もない油絵を描きたい」
そう語った河野扶は、晩年になり外来様式としての抽象から離れて、これまで誰も描いたことのない日本人の体質に根差した抽象絵画を創り出しました。 東洋的な無我、虚無的思想に裏付けされた河野扶の抽象芸術を楽しんでいただければと思います。

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