シャガール・コレクション展「アラビアン・ナイトから四つの物語」高知県立美術館

シャガール・コレクション展「アラビアン・ナイトから四つの物語」高知県立美術館

名称:シャガール・コレクション展「アラビアン・ナイトから四つの物語」高知県立美術館
会期:2021年08月17日[火] – 2021年09月20日[月]
会場:2階 第1展示室
観覧料:一般370円(290円) 大学生260円(200円)、 高校生以下無料
  *( )内は20名以上の団体料金。
住所:〒781-8123高知県高知市高須353-2
TEL:088-866-8000
URL:高知県立美術館

『アラビアン・ナイト』は『千夜一夜物語』ともいい、『船乗りシンドバッドの冒険』などで知られるアラブの大説話集です。国中の若い女性と一夜を過ごしては殺していた王を止めるために嫁いだ娘シェヘラザードが毎夜語る物語が収められています。シャガールはそこから4つの恋愛譚を選び、官能的な作品に仕上げました。

1946年、亡命先のアメリカで出版社からの依頼を受け、シャガールは初めてこの作品で本格的にカラーリトグラフに取り組みます。依頼の2年前に最愛の妻ベラを亡くし、失意に暮れていたシャガールでしたが、その悲しみを解き放つかのようにはじけるような色彩を用いて中東の建物、ターバンやヴェールなどの衣服を身に着けた人々といったエキゾティックな風俗を表しました。当館所蔵の特装版には、各作品の色ごとの刷りが収められ、加刷工程がわかるようになっています。各作品の段階刷りも合わせてシャガールの色彩をお楽しみください。

マルク・シャガール プロフィール
1887年、シャガールはロシアの街、ヴィテブスク(現在のベラルーシ共和国)の貧しいユダヤ人の家庭に生まれました。1911年からパリに出て、ラ・リューシュ(ハチの巣)というアトリエで制作に励む一方、アポリネール、サンドラールら詩人たちとも交流しました。キュビスムやフォーヴィスムを中心とする最新の美術に影響を受けるものの、恋人や花束といったモティーフが浮遊する独自の表現を確立していきます。 1915年には、生涯シャガールが愛し、創造の源泉となった同じユダヤ人のベラと結婚します。翌年には娘イダが生まれ、画家としての名声も高まりますが、ナチによるユダヤ民族の迫害政策や、ロシア革命、二度の世界大戦などの苦難に見舞われ、ヨーロッパ各地を転々としたのちアメリカへ亡命、その地でベラを失くします。ベラの死後、しばらく筆を取れなくなっていましたが、イダをはじめとする周囲の支えにより制作を再開し、「色彩の魔術師」と呼ばれるような鮮やかな色彩表現を深めていきます。1950年から南仏のヴァンスに定住し、晩年にいたるまで旺盛な制作意欲を発揮しましたが、1985年に惜しまれつつ逝去しました。享年97歳でした。

2021年度シャガール・コレクション展テーマ
「溢れる色彩」
《花嫁の花束》や《オルジュヴァルの夜》のように赤や青を全面に施したもの、ピンク色に塗られた空のある《路上の花束》……シャガールの油彩作品の色は現実とは異なる色を用いながらきらめくような色で、見る人を惹きつけます。それは版画作品にも当てはまり、思い通りの色を出すために試行錯誤が行われました。

今期はシャガールが制作した色彩版画から『ダフニスとクロエ』、『オデュッセイア』、『アラビアン・ナイトからの四つの物語』、『ポエム』の4シリーズを展示します。なかでもカラーリトグラフで刷られた『ダフニスとクロエ』は、20から25枚もの版を用いて制作されました。純度の高い色を駆使して表される本作は、物語の明るく牧歌的な雰囲気を伝えます。シャガールの色彩に対するこだわりが感じられる作品をご覧ください。

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