所蔵作品展「画家のメタモルフォーゼ―中村研一、その作風の変化―/同時開催 水辺のドローイング」小金井市立はけの森美術館

所蔵作品展「画家のメタモルフォーゼ―中村研一、その作風の変化―/同時開催 水辺のドローイング」小金井市立はけの森美術館

名称:所蔵作品展「画家のメタモルフォーゼ―中村研一、その作風の変化―/同時開催 水辺のドローイング」小金井市立はけの森美術館
会期:2021.07.28〜2021.09.05
会場:小金井市立はけの森美術館
観覧料金:一般 200円
小中学生 100円
(未就学児および障害者手帳、愛の手帳をお持ちの方と付添いの方一人は無料)
休館日:月曜日、火曜日
住所:〒184-0012東京都小金井市中町1-11-3
TEL : 042-384-9800
URL:小金井市立はけの森美術館

洋画家・中村研一は戦後、明るい色彩とのびやかな筆致による女性像や室内画を数多く描いたが、他の画家にとってもそうであるように、この画風は一朝一夕に生まれたものではなかった。
本展では中村作品におけるモティーフと描写の変化―これを本展ではメタモルフォーゼととらえます―を、対比的に紹介する。
明治28 (1895)年に福岡県で生まれた中村は、青年期に鹿子木孟郎の下で学んだ他、 大正4 (1915)年には東京美術学校に入学、岡田三郎助の指導を受けた。そのため初期作品には太平洋画会や、外光派の特徴が見て取れる。中村はそうした影響の上に、陰影のコントラストに特色を持つ画風を展開、官展を中心に発表を続け高く評価された。戦後にかけてはさらに大きく作風が変化し、筆跡を残す大胆なタッチ、色鮮やかで平面性が際立つ背景、黒い輪郭線が見られるようになっていく。ここからは中村が一般的な意味での「リアリズム」から遠ざかりながら、新たな表現を模索する様子がうかがえる。一方、モティーフに着目すると、戦時下にはベトナムやシンガポールの風景、戦艦の浮かぶ海景、現地の女性像、また戦争記録画の下絵として兵士のエスキースなどが描かれた。また戦前から描き続けていた妻の単身像は戦後にも引継がれ、中村のライフワークとも呼べる主題となっていった。1920年代から60年代にかけての、驚くばかりの画風の変化(メタモルフォーゼ)を楽しんでほしい。
また2階展示室では、「水辺のドローイング」展と題し、所蔵品の中でも夏らしい水辺を描いた風景画を中心に展示する。

 二階展示室の小企画では中村が描いた海や川、浜辺の風景画を展示致します。ここではその中の一点をご紹介します。《サイゴンにて》は、背景に海を望む美しいテラスが描かれた爽やかな風景画です。フランス植民地時代のベトナム(仏印の一部)を支配していたフランス軍の弱体化に伴い、日本軍が仏印北部に進駐を行ったのは1940年のことでした。画家がこの景色を描きとめたのは仏印進駐の後、1942年4月17日です。画面下方には小さく日の丸の旗が描き込まれています。

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