名称:クリスチャン・マークレートランスレーティング[翻訳する]東京都現代美術館
会期:2021年11月20日(土)〜2022年2月23日(水・祝)
会場:東京都現代美術館 企画展示室 1F
時間:10:00〜18:00 (最終入場時間 17:30)
休館日:月曜日
年末年始 12月28日~2022年1月1日
2022年1月11日
※ただし2022年1月10日、2月21日は開館
観覧料:一般 1,800円
大学生・専門学校生・65歳以上 1,200円
中高生 600円
小学生以下 無料
※本展チケットで「MOTコレクション」も観覧出来ます
住所:〒135-0022 東京都江東区三好4-1-1(木場公園内)
TEL:03-5245-4111(代表)
URL: 東京都現代美術館
矛盾してるようだけど、私は音について、それがどう聞こえるかということだけでなく、どう見えるかということにも興味があるんだ。
クリスチャン・マークレー インタビューより THE WIRE, Issue 195, May 2000
アートと音楽の交差点から作品を発表し、革新的な活動を続けてきたクリスチャン・マークレーの国内初の大規模な展覧会を開催します。
クリスチャン・マークレー(1955-)は、70年代末のニューヨークでターンテーブルを使ったパフォーマンスで音の実験を始めて以来、前衛的な音楽シーンの重要人物として活躍してきました。一方で、視覚的な情報としての音や、現代社会において音楽がどのように表象され、物質化され、商品化されているかといったテーマに焦点を当てた活動により、現代美術と音楽を繋ぐ、最も人気があり影響力を持った作家とみなされてきました。レコードやCD、コミック、映画、写真など、幅広いファウンドメディアを再利用しつつ、マークレーはこれまで、パフォーマンス、コラージュ、インスタレーション、ペインティング、写真、ビデオなど数多くの作品を生み出してきました。
日本の美術館で開催される初の大規模な個展である「クリスチャン・マークレー トランスレーティング[翻訳する]」では、そうした彼の多様で折衷的な実践をご紹介します。コンセプチュアル・アートやパンク・ミュージックに影響を受けた初期作品から、イメージと音の情報のサンプルを組み立てた大規模なインスタレーション、さらには現代社会に蔓延する不安を映し出した最新作まで、その多岐にわたる活動の全貌を紹介します。
Marclay Translating…
- 本展では、視覚と聴覚の経験の等価性を追求し、ある感覚を別の感覚に置き換えることで世界を読み解こうとするマークレーのユニークなアプローチを「Translating [翻訳する/変換する]」という語で言い当てます。
カリフォルニアで生まれ、ジュネーブで育ったマークレーは、スイスとアメリカの異なる言語・文化圏を行き来しながら成長し、その経験から、アーティストになるという決断をすることになりました。彼は言います。「私は言語をあまり信用しておらず、視覚的言語や音楽など、異なる記号や認識に頼る他のタイプのコミュニケーションに興味がありました* 」。
Translating Marclay…
一方で、マークレーの作品は、現在の時間のなかで変化し、鑑賞者によって、開かれた複数の体験へと「翻訳」されるものでもあります。例えば彼の初期の代表作である《レコード・ウィズアウト・ア・カバー》(1985年)は、保護パッケージのないLPレコードで、輸送、保管、再生の過程でつけられた傷が、録音と一体となっていくものです。
会期中には、日本在住の音楽家が彼の「グラフィック・スコア」を翻訳し演奏する関連イベントも開催します。
作家プロフィール
クリスチャン・マークレーは1955年アメリカ・カリフォルニア州に生まれ、スイス・ジュネーヴで育った後、ボストンのマサチューセッツ美術学校で美術学士を取得後、ニューヨークのクーパー・ユニオンで学ぶ。長年マンハッタンを拠点に活動してきたが、近年はロンドンに暮らす。1979年にターンテーブルを使った最初のパフォーマンス作品を発表。レコードをインタラクティブな楽器として扱う先駆的なアプローチにより、実験音楽シーンの重要人物として一躍知られるようになる。1980年代以降には、即興の演奏のほか、聴覚と視覚の結びつきを探る作品で、美術の分野でも活躍する。
代表作のひとつ《ザ・クロック》(2010)で第54回ヴェネチア・ビエンナーレ(2011)金獅子賞を受賞し、公式展示のなかで最も優れたアーティストとして評価される。ロサンゼルス・カウンティ美術館(カリフォルニア州)(2019年)、バルセロナ現代美術館(スペイン)(2019年)、アールガウアー美術館(スイス・アーラウ)(2015年)、ホイットニー美術館(ニューヨーク)(2010年)など世界各国の主要な美術館での個展を開催するほか、音楽の分野でも重要な活動を続け、『Record Without a Cover』(1985年)、『More Encores』(1988年)、『Records』(1997年)などのリリースのほか、これまで、ジョン・ゾーン、エリオット・シャープ、ソニック・ユース、フレッド・フリス、スティーブ・ベレスフォード、オッキュン・リー、大友良英ら数多くのミュージシャンと共演、レコーディングを行っている。
展覧会カタログ
クリスチャン・マークレーに関する日本初の出版物である本カタログは、出品作の画像、作家インタビュー、刀根康尚、デヴィッド・トゥープ、ダグラス・カーンら重要な論客たちとの対談や論考に加え、大友良英、中川克志(音楽・音響学)、ライアン・ホームバーグ(美術史・マンガ史研究)らによる書き下ろしの論考を収録。さらに、年表や、マークレーの日本での活動についての充実した資料編も掲載します。
左右社より発売予定。
デザイン 米山菜津子
関連イベント
∈Y∋、大友良英、コムアイ、巻上公一、山川冬樹らが、クリスチャン・マークレーの「グラフィック・スコア(図案楽譜)」を演奏するイベントを、会期中複数回にわたって開催します。また、この演奏のために、ジム・オルークを中心とするバンドも結成されます(ジム・オルーク(ギター)、山本達久(ドラム)、マーティ・ホロベック(ベース)、石橋英子(フルート)、松丸契(サックス))。1986年の初来日にはじまる、日本の実験音楽シーンとマークレーとの特別で継続的な関係に新たな1ページが記されます。
※詳細は後日お知らせします。
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