名称:高島屋創業190周年 特別展示「高島屋の美の原点刺繍絵画《獅子図》」大阪高島屋・京都高島屋
大阪高島屋 会期:2021年9月2日(木)→9月14日(火)
会場:1階 正面入口フロントステージ
〒542-8510 大阪市中央区難波5丁目1番5号
TEL:06-6631-1101
京都高島屋会期:2021年10月20日(水)→11月2日(火)
会場:1階 ゆとりうむフロントステージ
〒600-8520京都市下京区四条通河原町西入真町52
TEL:075-221-8811
※会期・会場・内容は予告なく変更になる場合がこざいます。
「刺繍絵画」とは
日本が世界に誇る美術工芸品のひとつに「刺繍絵画」があります。一見絵画のように見えますが、針と絹糸で刺繍されているものです。画家が描いた下絵をもとに、職人が一針一針、緻密に丹念に縫い上げており、本作(作品外寸W90.5cm×H80cm)を完成させるのには数カ月から約1年かかったであろうと言われています。こうした「刺繍絵画」は、明治期に盛んに製作され、海外の邸宅を彩る室内装飾品として輸出されました。当時、近代化を急ぐ日本では、文化国家であることを海外へアピールする目的や、外貨獲得によって日本を豊かにしようという政策のもと、多くの美術工芸品が海外へ輸出されました。そのひとつが「刺繍絵画」ですが、当時は主に万国博などへの出品や、欧米の富裕層向けの輸出品として制作されたため、日本にはほとんど残されておらず、今では大変貴重な美術工芸品のひとつとなっています。高島屋が明治期にはじめた輸出貿易の主力製品のひとつも、この「刺繍絵画」でした。
「超絶技巧」による、刺繍絵画《獅子図》について
わずか1cmほどの直線を縫い上げることを繰り返しながら、自在に曲線を描いていく高度な技術。染め分けた絹糸の色の濃淡のみで立体感を表し、糸ならではの質感で獅子の毛並みを繊細に表現しています。想像を絶する忍耐力と根気をともなう作業ですが、職人の並外れた技術、まさに「超絶技巧」によって、雌雄の獅子が見事に縫い表されています。
当時、ヨーロッパを席捲していたジャポニズムも追い風となり、「刺繍絵画」は大変好まれました。現在も、各国の美術館などには日本の刺繍製品が多数収蔵されています。
刺繍絵画《獅子図》には、「下絵」があります(高島屋史料館蔵)。高島屋で染織品の下絵制作をてがけていた、画家・図案家として名高い神坂雪佳の弟で日本画家の神坂松濤が描いた獅子図です。本図には、さらにもとになった原画が存在します。原画は、1900年代初めに、ハンガリー人画家Vastagh Geza(ヴァスリフ・ゲーザ)が描いた獅子雌雄図Lion and Lionessという油彩画です(現在、イギリスのラッセルコート・アートギャラリー所蔵)。当時、この原画 (油彩画)のカラー印刷図版を入手した高島屋で、松濤は原画を反転させた獅子図を描きました。 原画を反転させた意図は不明ですが、構図の変化やバリエーションを増やすためとみられます。高島屋の輸出品の記録写真集には複数の獅子図の製品が確認でき、当時、この獅子は、大変好まれたモチーフであったことがうかがえます。
下絵と製品、100年の時を超えての再会
高島屋は1831(天保2)年正月、京都で創業し、本年で創業190周年を迎えました。この記念すべき年に、明治から大正にかけて高島屋が欧米に向けて輸出した刺繍絵画《獅子図》が、縁あって里帰りし、ご覧いただける運びとなりました。今回はこうした当社の美の原点ともいえる刺繍絵画《獅子図》と、本作の下絵《獅子図》を同時に展示することで100年以上の時を超えた”下絵と製品の再会”をお楽しみいただけます。
高島屋の美の原点 刺繍絵画≪獅子図≫特別展示 紹介動画
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