名称:企画展「高畑勲展―日本のアニメーションに遺したもの」新潟県立近代美術館
開催期間:2021年09月18日(土) ~ 2021年11月14日(日)
開催時間:9:00~17:00 ※券売は16:30まで
休館日:9/27(月)、10/4(月)、11(月)、18(月)、25(月)
観覧料:大人: 当日1,500円(1,300円)
大・高生: 当日1,300円(1,100円)
※( )内は有料20名以上の団体
※中学生以下無料
主催:新潟県立近代美術館、UX新潟テレビ21、高畑勲展新潟実行委員会
共催:NHK新潟放送局
後援:長岡市、長岡市教育委員会、新潟日報社、長岡新聞社、エフエムラジオ新潟、
FMながおか80.7
企画協力:スタジオジブリ
制作協力:NHKプロモーション
協力:(公財)徳間記念アニメーション文化財団
協賛:パルシステム生活協同組合連合会
住所:〒940-2083新潟県長岡市千秋3-278-14
TEL:0258-28-4111
URL:新潟県立近代美術館
絵を描かない監督が、どのようにして歴史に残るアニメーションをつくったのか。
長編初監督作品となった「太陽の王子 ホルスの大冒険」(1968)で、大人の鑑賞にたえる壮大なスケールの映像世界を作り上げた高畑は、アニメーションにおける新しい表現領域をつぎつぎに開拓していきました。70年代には、「アルプスの少女ハイジ」(1974)や「赤毛のアン」(1979)などのテレビ名作シリーズで、日常生活を丹念に描写する演出手法を通して、ファンタジーとは一線を画した豊かな人間ドラマの形を完成させます。80年代以降は、物語の舞台を日本に移し、「じゃりン子チエ」(1981)、「火垂るの墓」(1988)、「平成狸合戦ぽんぽこ」(1994)など、日本の風土や庶民生活のリアリティーを表現するとともに、日本人の戦中・戦後の経験を現在から問い直すような力作を次々に発表します。遺作となった「かぐや姫の物語」(2013)ではスケッチの線を生かした描法に挑み、従来のセル画様式を乗り越える表現上の革新を達成しました。本展では、常に今日的なテーマを模索し、新しい表現方法を追求した高畑の演出術に注目し、制作ノートや絵コンテなどの未公開資料も紹介しながら、その多面的な作品世界の秘密に迫ります。
高畑勲(1935-2018)は、1960年代から半世紀にわたって日本のアニメーションを牽引し続けたアニメーション映画監督です。本展では、高畑の演出術に注目し、制作ノートや絵コンテなどの未公開資料も紹介しながら、その豊穣な作品世界の秘密に迫ります。
(展覧会期は9月18日~10月31日から9月18日~11月14日に変更になりました)
高畑勲(1935~2018)
1935年 三重県生まれ。岡山県で育つ
1959年 東京大学仏文学科卒業。同年東映動画(現・東映アニメーション)に入社
1968年 劇場用長編初演出(監督)となる『太陽の王子 ホルスの大冒険』を完成
1974年 テレビシリーズ『アルプスの少女ハイジ』全話を演出。その後、『母をたずねて三千里』(1976)、『赤毛のアン』(1979)全話演出を手がける
1984年 宮崎駿の『風の谷のナウシカ』でプロデューサーを務める
1985年 スタジオジブリ設立に参加
主な作品 1.「狼少年ケン」(1963年~1965年) 2.「太陽の王子 ホルスの大冒険」(1968年) 3.「パンダコパンダ」(1972年) 4.「アルプスの少女ハイジ」(1974年) 5.「母をたずねて三千里」(1976年) 6.「未来少年コナン」第9話、第10話(1978年) 7.「赤毛のアン」(1979年) 8.「じゃりン子チエ」(1981年) | 9.「セロ弾きのゴーシュ」(1982年) 10.「柳川掘割物語」(1987年) 11.「火垂るの墓」(1988年) 12.「おもひでぽろぽろ」(1991年) 13.「平成狸合戦ぽんぽこ」(1994年) 14.「ホーホケキョ となりの山田くん」(1999年) 15.「かぐや姫の物語」(2013年) |
みどころ/展示構成
第1章 出発点
高畑勲氏は1959年に東映映画(現・東映アニメーション)に入社し、アニメーションの演出家を目指します。演出助手時代に手がけた「安寿と厨子王丸」(1961)では、新発見の絵コンテをもとに若き日の高畑氏が創造したシーンを分析します。「太陽の王子 ホルスの大冒険」(1968)では、集団制作の方法と作品世界を構築していくプロセスに光を当て、なぜこの作品が日本のアニメーション史において画期的であったかを明らかにします。
第2章 日常生活のよろこび
東映映画を去った高畑氏は、「アルプスの少女ハイジ」(1974)にはじまる一連のTVの名作シリーズで新境地を切り拓きます。毎週一話を完成させなければならない時間的制約にも拘わらず表現上の工夫を凝らし、日常生活を丹念に描写することで、生き生きとした人間ドラマを創造したのです。宮崎駿、小田部羊一、近藤喜文、井岡雅宏、椋尾篁らとのチームワークを絵コンテ、レイアウト、背景画などによって検証し、高畑演出の秘密に迫ります。
第3章 日本文化への眼差し
映画「じゃりン子チエ」(1981)以降は、日本の風土や庶民の生活のリアリティを活写します。その取り組みは、1985年に設立参画したスタジオジブリにおいて、「火垂るの墓」(1988)、「おもひでぽろぽろ」(1991)、「平成狸合戦ぽんぽこ」(1994)という日本の現代史に注目した作品群に結実します。日本人の戦中・戦後の経験を現代と地続きのものとして語り直す話法の創造と、「里山」というテーマの展開に注目します。
第4章 スケッチの躍動
90年代には絵巻物研究に没頭して日本の視覚文化の伝統を掘り起こし、人物と背景が一体化したアニメーションの新しい表現スタイルを模索し続けました。その成果は「ホーホケキョ となりの山田くん」(1999)と「かぐや姫の物語」(2013)に結実します。手書きの線を生かした水彩画風の描法に挑み、従来のセル様式とは一線を画した表現を達成しました。美術への深い知識に裏付けられた高畑のイメージの錬金術を紐解きます。
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