日本の新進作家 vol. 18「記憶は地に沁み、風を越え」東京都写真美術館

山元彩香 《Untitled #286, Mzimba, Malawi》〈We are Made of Grass, Soil, Trees, and Flowers〉より 2019年 ©Yamamoto Ayaka, courtesy of Taka Ishii Gallery Photography / Film

名称:日本の新進作家 vol. 18「記憶は地に沁み、風を越え」東京都写真美術館
会期:2021年11月6日(土)~2022年1月23日(日)
休館日:毎週月曜日(月曜日が祝休日の場合は開館し、翌平日休館)、年末年始
料金:一般 700(560)円/学生 560(440)円/中高生・65歳以上 350(280)円 
  ※( )は当館の映画鑑賞券ご提示者、年間パスポートご提示者(同伴者1名まで)、
  各種カード会員割引料金。各種割引の詳細はご利用案内をご参照ください。各種割引の併用はできません。 
  ※小学生以下、都内在住・在学の中学生および障害者手帳をお持ちの方とその介護者(2名まで)、年間パスポートご提示者(企画展4回まで)は無料。
住所:〒153-0062東京都目黒区三田1-13-3 恵比寿ガーデンプレイス内
TEL:03-3280-0099
URL:東京都写真美術館

東京都写真美術館では、写真・映像の可能性に挑戦する創造的精神を支援し、将来性のある作家を発掘するため、新しい創造活動の展開の場として「日本の新進作家」展を2002年より開催しています。 18回目となる本展では「記憶は地に沁み、風を越え」をテーマとして、私たちの身体と土地、風景、 そしてその記憶との関わり合いについて、多様なアプローチで追求する作家5組6名の写真・映像表現を紹介します。
グローバル化とボーダレス化のあり方が変容し続ける社会にあっても、歴史、風習、伝承など、それぞれの地域や土地特有の記憶は様々な形で遺り続け、そこには多様な価値観が存在します。しかしながら一方で、私たちの想いは、ときに風のような軽快さをもってあらゆる境界を越え、他者と向き合う方法を見出してくれます。居続けることと移動とを繰り返してきた人類の歴史の中で、今、私たちはどのように土地・風景と対話し、他者とどのように関わることができるでしょうか?
デジタルとアナログのハイブリッドによって、風景・イメージの多層的なレイヤーを作り出す吉田志穂。自身のパフォーマンスによる映像を通して、風景と個人の関係を探る潘逸舟。自然災害とそこに暮らす人々、そしてその伝承・語りを作品化する小森はるか+瀬尾夏美。10年以上にわたりアイヌの人々を撮影し、民族という類型化に疑問を投げかける池田宏。馴染みのない地域で、言語を越えて、身体と無意識の関係性を追求する山元彩香。これらの作家たちによる表現を通して、私たちの生きる現在を考える上で、ひとつの手がかりを与えてくれるかもしれません。

出品作家|吉田志穂、潘逸舟、小森はるか+瀬尾夏美、池田宏、山元彩香[5組6名]

吉田志穂|Yoshida Shiho
1992年、千葉県生まれ。2014年東京工芸大学芸術学部写真学科卒業。吉田の作品では、インターネットでの画像検索によって被写体となる場所をリサーチし、実際にその場所に足を運び撮影するという、デジタルとアナログの間を往来する制作手法により、多層的な時空間が表現されている。主な個展に、「Quarry / ある石の話」(Yumiko Chiba Associates、東京、2018年)、「測量|山」/「砂の下の鯨」(資生堂ギャラリー、東京、2017年)、グループ展に「TOKAS-Emerging 2020」(トーキョーアートアンドスペース、2020年)、「VOCA展2018 現代美術の展望―新しい平面の作家たち」(上野の森美術館、2018年)などがある。
出品点数|計12点

吉田志穂 〈砂の下の鯨〉より 2016年 インクジェット・プリント ©Yoshida Shiho, courtesy of Yumiko Chiba Associates
吉田志穂 〈砂の下の鯨〉より 2016年 インクジェット・プリント ©Yoshida Shiho, courtesy of Yumiko Chiba Associates

藩 逸舟|Han Ishu
1987年、上海生まれ。東京藝術大学大学院美術研究科先端芸術表現専攻修了。 社会と個、他者と自己、風景という他者と自己との関係性を作品のテーマとして、映像、インスタレーション、写真、絵画など様々なメディアを用いて制作を行う。映像作品では、自らのパフォーマンス映像を多く制作している。 主な個展に「The Drifting Thinker」(MoCA Pavilion、上海、2017年)、グループ展に「In the Wake – Japanese Photographers Respond to 3/11」(ボストン美術館、2015年/ジャパン・ソサエティー、NY、2016年)、「アートセンターをひらく第Ⅰ期」(水戸芸術館現代美術センター、2019年)など。2020年、「日産アートアワード」グランプリ受賞。
出品点数|計4点

潘 逸舟 《トウモロコシ畑を編む》 2021年 2チャンネルヴィデオ ©Han Ishu, courtesy of ANOMALY
潘 逸舟 《トウモロコシ畑を編む》 2021年 2チャンネルヴィデオ ©Han Ishu, courtesy of ANOMALY

小森はるか十瀬尾夏美|Komori Haruka + Seo Natsum1
小森はるか(映像作家 / 1989年生まれ)と瀬尾夏美(アーティスト/ 1988年生まれ)によるアートユニット。2011年3月、東北の被災地にボランティアとしてふたりで赴いたことをきっかけに、ユニットの活動を開始する。2012年から3年間、岩手陸前高田市で暮らしながら制作を行う。2015年には陸前高田から仙台に拠点を移し、一般社団法人NOOKを設立。各地で対話の場づくりを行い協働しながら、風景と人々の言葉の記録を作品制作の軸としている。主なグループ展に「記録と想起―イメージの家を歩く―」(せんだいメディアテーク、2014年)、「日常のあわい」(金沢21世紀美術館、2021年)など。
出品点数|計1点

小森はるか+瀬尾夏美 《山つなみ、雨間の語らい》 2021年 インスタレーション (写真、映像、サウンド、鉛筆、色鉛筆、紙、水彩、アクリル、テキスト、資料)©Komori Haruka+Seo Natsumi
小森はるか+瀬尾夏美 《山つなみ、雨間の語らい》 2021年 インスタレーション (写真、映像、サウンド、鉛筆、色鉛筆、紙、水彩、アクリル、テキスト、資料)©Komori Haruka+Seo Natsumi

池田 宏|Ikeda Hiroshi
1981年、佐賀県生まれ。大阪外国語大学外国語学部スワヒリ語科卒業。2008年から北海道に通い、アイヌの人々のポートレイトを撮影している。先住民族という括りでは語れない、そこで暮らす個人をとらえてきた。2019年に写真集『AINU』(リトルモア)を刊行。近年の個展に「SIRARIKA」(スタジオ35分、東京、2018年)、「AINU-LANDSCAPE」(スタジオ35分、東京、2019年)、「AINU-PORTRAIT」(Title、東京、2019年)、「SINUYE(シヌイェ)」(創作一心跡地、北海道、2020年)、「現代アイヌの肖像」(東京都人権プラザ、東京、2020-21年)などがある。2020年、日本写真協会賞新人賞を受賞。
出品点数|計16点

日本の新進作家 vol. 18「記憶は地に沁み、風を越え」東京都写真美術館

山元彩香|Yamamoto Ayaka
1983年、兵庫県生まれ。京都精華大学芸術学部造形学科洋画コース卒業。2004年のサンフランシスコへの留学を機に写真の制作を始める。馴染みのない国や地域へ出かけ、そこで出会った少女たちを撮影することで、その身体に潜む土地の記憶と、身体というものの空虚さを写真にとどめようとする。主な個展に「organ」(void+、東京、2019年)など。東欧やアフリカの各地で撮影を行い、国内外で写真展やレジデンスに参加。2019年に出版された写真集『We are Made of Grass, Soil, and Trees』(T&M Projects、2018年)でさがみはら写真新人奨励賞を受賞。
出品点数|計17点

山元彩香 《Untitled #387, Okinawa, Japan》〈We are Made of Grass, Soil, Trees, and Flowers〉より 2021年 発色現像方式印画 © Yamamoto Ayaka, courtesy of Taka Ishii Gallery Photography / Film
山元彩香 《Untitled #387, Okinawa, Japan》〈We are Made of Grass, Soil, Trees, and Flowers〉より 2021年 発色現像方式印画 © Yamamoto Ayaka, courtesy of Taka Ishii Gallery Photography / Film

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