名称:「牧野宗則・風鈴丸 二人展―花ひらく伝統木版画の世界―」和光ホール
会期:2021年12月17日(金) ~ 2021年12月26日(日)
最終日は17:00まで
住所:〒104-8105 中央区銀座4丁目5-11
TEL:(03)3562-2111(代表)
URL:和光ホール
描かれているのは、いつかどこかで会ったことがある気がする、良い香りのようなもので世界を守っている、そんな力を持つ精霊のような少女。色彩の透明感と鮮やかさにより、少女の髪や香りがスローモーションで揺らめいているように感じられます。
牧野さんが長くモチーフにしてきた富士山と、躍動する波を描いた作品。30枚の山桜の版木を使い、48度の摺り重ねを行い、1年かけて完成させた牧野版画の集大成ともいえる大作です。
当代随一の伝統木版画家・牧野宗則さん、同じ技法で独自の世界を確立した次女の風鈴丸さんによる和光で初の二人展を開きます。長らく分業で行われてきた絵師、彫師、摺師の全過程を自らの手で行う稀有な存在のお二人です。
静岡市で生まれ育った牧野さんのそばにいつもあった富士山。ここ10年ほど、作品のモチーフの八割は富士山です。「1年という時間の全てを費やして『悠々無限』を完成させました。悠かなる刻の流れの中、気高く美しい富士の姿と、すべての命の母である海を描きました。幸せで希望に満ちた時代になるようにと願いを込めました」と笑顔でおっしゃいます。
幼い頃からよく夢を見て、翌朝もその内容を鮮明に覚えているという風鈴丸さん。「色や音、匂いも含めて“記憶の引き出し”にずっと入っていて、いつでもそこから出すことができます。『これを残したい』と思うものを作品にしています」と話します。夢で見た情景を描き、そこに詩を添えたロマンティックで唯一無二の作品です。
牧野さんはブロックスアート約10点を含む50余点、風鈴丸さんは版画とアクリル画、30余点を出品されます。「同じ伝統木版画の技法を用いた父娘の作風の違いを楽しんでいただけたら」と風鈴丸さんは話されます。
鮮やかな色の組合せの妙や構図の面白さ、一枚の画のなかで展開される豊かなストーリー、そして何より伝統木版画への情熱が味わえます。ぜひ間近でご覧になり、その迫力を感じてください。
牧野 宗則 (まきの・むねのり)
1992・99・2009年 浮世絵太田記念美術館にて「北斎・広重からの華麗なる展開―牧野宗則木版画展」
1997年 「棟方志功・牧野宗則二人展」(九州各県)
2003年 文化庁長官表彰受賞
10年 ニューヨーク・ニッポンクラブギャラリーにて個展(在ニューヨーク領事館後援)
18年 和光ホールにて「伝統と革新―牧野宗則木版画展」
風鈴丸 (ふうりんまる)
武蔵野美術大学卒業
2001年 平野美術館(浜松市)で「風鈴丸展」
10年 絵本「ぎゅうにゅう太郎とまよなかのでんしゃ」刊行
11年 市制40周年記念「風鈴丸作品展」(裾野市主催)
14年 静岡済生会病院に壁画制作
15年 静岡市芸術文化奨励賞受賞
17年 ふじのくに地球環境史ミュージアムで「風鈴丸作品展 星の教室」
20年 フェルケール博物館で「牧野宗則・風鈴丸ふたり展」
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