「そのうちマイルストーン」NORA HAIR SALON

「そのうちマイルストーン」NORA HAIR SALON

名称:「そのうちマイルストーン」NORA HAIR SALON
会期:2022.01.24(月)~2022.03.27(日)
開館時間:11:00 〜 21:00 土曜日は20:00まで,日曜日は19:00まで,祝祭曜日は19:00まで
入場料:無料
会場:NORA HAIR SALON
住所:〒107-0062 東京都港区南青山5-3-10 フロムファーストビルディング地下
TEL:03-6419-9933
URL:NORA HAIR SALON 

展覧会を行うとなると、展示作品に対してカテゴライズや意思決定を経た上で、キュレーションが行われ、その上で作家においてはある程度自由が保障されるといったように運営をされることが多い。ただ、博物史をたどってみると、かつて「驚異の部屋/Wunderkammer」というものがあった。ミュンヘン郊外のBurg Trausnitzでは、かの時代に陳列されていたであろう物品を今でも見ることができる。当時の陳列風景はいまでは絵でしか見ることができないが、その中で雑多に並べられていたものが、現在ガラスケースの中にきれいに並べられている。
そこには珍しい貝殻や、動物の骨やはく製、またはフェティッシュな錠前、タンス、はたまた螺旋階段の試作のための模型など、どうやって集められてきたのかわからないものばかりがあった。これらはおそらく、面白いものを集めるというとてもおおざっぱな意思決定のもと集められてきたものであろう。少なくとも、アルチンボルドが収集係を務めた神聖ローマ帝国のルドルフ2世のもとにおいては、そうであったであろうと推察される。収集に関しての志向はあったとは思うが、その価値基準は珍品や見た目の面白いものであった。そして、カテゴリーをつけ、それに従って陳列をするという考え方は、のちに生まれたものである。これらの収集物は宝として認識され、侵略戦争においては奪われ、ほかの土地から集められてきた収集物と一緒にされ、大量にそして雑多に保管されることになった。だからこそ、その後に整理する術が必要になったのだ。裏を返してみれば、とりあえず集められるという環境がなかったら、それらをカテゴリー別に整理するという考え方も生まれなかっただろう。
現在我々の生きる日常には情報が濁流のように雑多に押し寄せ、それらに興味を抱き、強くひきつけられたり、または無反応になったり、いなしたりすることを常に続けている。それに加え2020年から始まったパンデミックはオンライン上での活動の門戸を広げ、会議や授業もオンラインで行われることも当たり前になった。実際この展覧会の運営における話し合いも、そのほとんどがオンラインで行われ、であるが故にかなりの頻度で様々なことについて話し合われた。
一方的であったり、相互的であったりする情報や、なんの文脈でそこに集まっているかわからないような情報、そしてこのオンラインやオフラインが関係し合い起こって行く事柄は、生命体のようにうごめいている。ある意味混沌といえるようなその塊を不整理なまま提示することが、現在を表すことになるであろうと私たち土煙SPOTSは直観した。少なくとも、今という時はそのうち重要な「マイルストーン」になる。
今回のNora Hair Salonでの展覧会の運営においては、私たちが再び会いたいと思う作家たちが集められている。そして会場は41人のアーティストたちが各々持ち寄った作品で埋め尽くされ、それぞれの作家の今が反映される。また、作品群として見たときには、今という時代を映す鏡として理解することもできるであろう。その上で見る人にとっても、その人の今を確認できるものであればと願う。またその人が、10年後に展覧会を思い出した時にも、その時の今を。
アーティスト
浅野純人、飯野哲心、伊佐治雄悟、石川洋樹、今関舞香、今西勇太、岩崎広大 他
[関連イベント]
中島裕子、髙倉吉規による制作プロセスの公開
日時: 1月27日(木)、2月8日(火)、2月22日(火)、3月8日(火)、3月22日(火)15:00〜18:00

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