「カラーフィールド 色の海を泳ぐ」DIC川村記念美術館

「カラーフィールド 色の海を泳ぐ」DIC川村記念美術館

名称:「カラーフィールド 色の海を泳ぐ」DIC川村記念美術館
会期:2022年3月19日(土)〜9月4日(日)
開館時間:09:30〜17:00(最終入場時間 16:30)
料金:一般 1,500円、学生・65 歳以上 1,300円、小中学生・高校生 600円 (事前予約制)
休館日:月曜日(ただし3月21日、7月18日は開館)、3月22日(火)、7月19日(火)
会場:DIC川村記念美術館
主催:DIC株式会社
住所:〒285-8505 千葉県佐倉市坂戸631
TEL:050-5541-8600
URL:DIC川村記念美術館

「カラーフィールド 色の海を泳ぐ」DIC川村記念美術館
「カラーフィールド 色の海を泳ぐ」DIC川村記念美術館
「カラーフィールド 色の海を泳ぐ」DIC川村記念美術館
「カラーフィールド 色の海を泳ぐ」DIC川村記念美術館

カラーフィールドは1950年代後半から60年代にかけてアメリカを中心に発展した抽象絵画の傾向です。 大きなカンヴァス一面に色彩を用いて場(=フィールド)を創出させることで、広がりある豊かな画面を作り出しました。
本展は、このカラーフィールド作品の収集で世界的に知られるマーヴィッシュ・コレクションより、関連する作家9名に焦点をあて、1960年代以降の出色の作品を紹介する本邦初の展覧会です。彼らは、色彩と絵画の関係を各々の方法で模索し、その過程で多くの作家が独自の描画に至りました。変形的な外形を持つシェイプト・カンヴァスの使用や、絵具をカンヴァスに染み込ませるステイニング技法、あるいはスプレーガンの噴霧で色を蒸着させる画法など、従来では考えの及ばなかった手法を考案し、絵画に新たな地平を切り拓いたのです。
こうして創出された空間を満たす大画面と、そこで展開される様々な色彩についての思考は、今なお見るものの感覚や想像力を刺激してやみません。作品が体現する色の世界、その海を泳ぐ私たちは、色の波に身をまかせ、溺れ、時に抗いながら、絵画と色彩の無限の可能性に出会うでしょう。色の海を泳ぎきった先には、きっと、私たち自身の中にある彩り豊かで、高潔な、けれど同時に暗く、黒いものをも包む、美しい地平を感じとっていただけるのではないでしょうか。
オードリー&デイヴィッド・マーヴィッシュ・コレクション
マーヴィッシュ夫妻は、世界的に知られるカラーフィールド作品のコレクターです。画家であった母の影響により、早くから芸術に強い興味を抱いたデイヴィッド氏は、1963年秋、18歳でカナダのトロントに念願のギャラリーを開廊。ルイスやノーランド、オリツキーなどの作品に魅了され、じきにカラーフィールド作家の個展やグループ展を中心に企画し始めます。1967年の結婚後は、妻のオードリー氏と芸術への情熱を共有し、1978年のギャラリー閉廊まで約15年間、企画開催に合わせて直接作家から購入した作品群は、世界最良のカラーフィールド作品のコレクションとして知られています。
現在も精力的に作品を収集し、コレクションの一部を欧米の美術館で開催される展覧会へ出品して、作家や作品理解に寄与する活動を継続しています。
(公式サイトより)

出品作家
フランク・ステラ (1936– アメリカ)
1958年にプリンストン大学を卒業後、画面を黒のストライプで埋め尽くした絵画〈ブラック・シリーズ〉に取り組む。これがニューヨーク近代美術館の「16人のアメリカ人たち」展に出品され、ステラは大きな注目を集めることになった。その後、シェイプト・カンヴァスを用いた〈ダートマス・ペインティング〉、鮮やかな色彩を導入した〈不整多角形〉シリーズなど、次々に新しいスタイルを展開し、絵画の可能性を追求。1970年代以降は立体的な作品も手掛けるようになり、現在まで精力的に制作を続けている。
ケネス・ノーランド (1924–2010 アメリカ)
米空軍での兵役を経て、ブラック・マウンテン・カレッジで学ぶ。1950年代前半に批評家クレメント・グリーンバーグ、作家フランケンサーラー、ルイスらと知り合い、その影響下で自らのスタイルを形成。1956年から同心円による絵画、また1963年からは〈シェヴロン〉(V字を重ねた形)による絵画を制作し始め、これらがノーランドを代表するモチーフとなる。その後も1960年代後半には色彩の帯を用いた作品、70年代には多角形のカンヴァス作品など、さまざまな手法を通じて絵画における色彩と形体を探究した。
アンソニー・カロ (1924–2013 イギリス)
ロンドンのロイヤル・アカデミー・スクールで伝統的な彫刻技法を学びながら、ヘンリー・ムーアのアシスタントとして働く。1950年代には具象彫刻を制作していたが、1959年のアメリカ滞在を経てスタイルを大きく転換。鉄を溶接し、赤・青・黄といった鮮やかな色彩を施す床置き彫刻を制作し始める。1966年からは卓上に設置する〈テーブル・ピース〉、1970年代には錆びた鉄板による彫刻など、いずれも従来の彫刻にはない軽やかな形体が高く評価された。1992年、高松宮殿下記念世界文化賞を受賞。
ジャック・ブッシュ (1909–1977 カナダ)
モントリオールとトロントの美術学校で学ぶ。1968年まで商業イラストレーターとして生計を立てており、絵画はその傍らで制作していた。1930年代から40年代は風景画に取り組んでいたが、50年代にニューヨーク・スクールの影響を受け、抽象画家グループ「ペインターズ・イレヴン」に参加。以後、批評家クレメント・グリーンバーグとの交流を通じて自らのスタイルを確立していった。
1967年にはサンパウロ・ビエンナーレの代表に選出されるなど評価が高まり、現在ではカナダの重要な抽象画家の一人とみなされている。
モーリス・ルイス (1912–1962 アメリカ)
メリーランド州のボルチモアに生まれる。地元の美術学校で学び、卒業後は絵画制作の傍ら、公共美術計画で壁画制作に参加するなど多くの職を経験した。初期は人物や風景を主題とした作品や、ピカソやミロを彷彿とさせる作品を描く。1948年より、速乾性があり希釈しても発色の良い溶解性アクリル絵の具「マグナ」を使用。1953年にフランケンサーラーの《山と海》に影響を受け、1954年よりステイニング技法による作品を制作。なかでも〈ヴェール〉〈アンファールド〉〈ストライプ〉の3つのシリーズが知られる。
ヘレン・フランケンサーラー (1928–2011 アメリカ)
ニューヨーク生まれの抽象表現主義第二世代の画家。ダルトンスクール在学中はメキシコ人画家ルフィノ・タマヨに、ベニントン大学ではポール・フィーリーに師事。1950年に批評家クレメント・グリーンバーグに出会い、その勧めでハンス・ホフマンに学ぶ。
初期はキュビスム風の作品を手掛けていたが、1952年には薄く溶いた絵具をカンヴァスに流して染み込ませるステイニング技法を生み出し、代表作《山と海》はルイスやノーランドに影響を与えた。1966年のヴェネツィア・ビエンナーレに参加。1961年より版画にも熱心に取り組み、絵画にとどまらない制作を行った。
ラリー・プーンズ (1937– アメリカ)
東京に生まれる。元々作曲を学んでいたが、1959年のニューマンの個展を見て音楽家ではなく画家の道に進むことに決め、ボストン美術館付属学校で学ぶ。
1960年代は単色で塗られたカンヴァスに小さな円や楕円を描きこんだ作品で知られ、1965年の展覧会「レスポンシヴ・アイ(応答する眼)」へ選出された。1969年にはメトロポリタン美術館「ニューヨークの絵画と彫刻1940-70」展に最年少で参加。1969年以降は初期からスタイルを大幅に変え、床に広げたカンヴァスにバケツでアクリル絵の具を何層も重ねるエレファントスキン・ペインティングや、カンヴァスに向けて絵具を投げつけるスロー・ペインティングに取り組み、現在も制作を続けている。
フリーデル・ズーバス (1915–1994 アメリカ)
ベルリンに生まれ、1939年にアメリカへ移住。下塗りをしたカンヴァスに薄く溶いた絵具を広げ、その上に様々な色を抽象的な形に何層も重ね塗りする特徴的な作品を制作する。
1952年にフランケンサーラーとスタジオを共同で使用し、同年にはティボール・デ・ナジ画廊で初めての個展を開催。以降もレオ・キャステリ画廊など有力な画廊で個展が開催されるほか、複数のグループ展にも出品。1960年代終わりごろからコーネル大学等で教職にもついた。1975年にボストンのショーマット銀行の依頼で描いた壁画《黙示録/交差》は今なおアメリカ最大の抽象絵画のひとつである。
ジュールズ・オリツキー (1922–2008 アメリカ)
ロシア生まれ。1960年にステイニング技法による制作を開始し、カラーフィールドの作家として注目を集める。1964年に画面全体を緩やかなグラデーションで覆う色面絵画を発表。翌1965年より工業用のスプレーガンを使用した霞が漂うような繊細な表現を創出、独自の画風へと昇華させた。1969年には存命中の画家としては初となる、メトロポリタン美術館での個展を実現。1970年以降は絵筆による作画に回帰し、荒々しい表情をもつ厚塗りの抽象画を制作。生涯に渡り、絵画における色彩と光の効果を探求した。絵画のほか巨大なアルミニウム製のスプレー彫刻も発表している。

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