名称:かがわ・山なみ芸術祭2022 SIONOE関連事業「芸術の四国遍路展」高松市塩江美術館
会期:2022年5月21日(土曜日)~6月26日(日曜日)
会場:高松市塩江美術館 企画展示室
休館日:月曜日
開館時間:9時~17時(入室は16時30分まで)
主催:高松市塩江美術館
共催:かがわ・山なみ芸術祭2022実行委員会
企画:芸術ハカセは見た!
観覧料:
【一 般】300円(団体240円) ※常設展観覧料含む
【大学生】150円(団体 120円)
※高校生以下及び65歳以上の方、身体障がい者手帳等所持者は、無料
住所:〒761-1611香川県高松市塩江町安原上602
TEL:087-893-1800
URL:高松市塩江美術館
このたび、 『かがわ・山なみ芸術祭2022 SIONOE』関連事業として、パルコキノシタ氏(美術家)により企画された四国4県での巡回展「芸術の四国遍路展」を開催します。
この展覧会は、パルコ氏が2011年3月に起こった東日本大震災で見舞われた方々の供養のため四国八十八ヶ所巡礼をおこなったときに、“四国は一つ”という合言葉を目にしたことで、アートを通じて四国の人々が気軽に行き来し、交流が活発になっていく事でいざというとき助け合える社会になってほしという願いが込められています。
本展が、最後の開催場所になり、四国4県から集まった様々なジャンルで活躍しているアーティスト12名の作品を紹介します。
世間一般的にアートというのは日常生活には直接あまり関係ないもののように言われておりますが、同時に世界的にアートは都市の成熟度を測るバロメーターとして、最重要視されてきた歴史もあります。特に技法にこだわらず自由な発想で表現する現代アートというのは最近地域の活性化の話題作りとして大変注目されていまして、地方都市の歴史や文化の掘り起こし、観光資源の再発見に大きく寄与しているという実績もあります。
今回「芸術の四国遍路展」の企画者の一人である僕も、2011年3月11日の東日本大震災の最大の被災都市といわれる石巻市に現在居住し、地元主催の国際芸術祭参加やボランティア活動などを通じてアートによる復興支援に取り組んでまいりました。
そこで感じるのは最近本当に予期せぬ災害や事故、困難が起きるたびに物質的な支援や救援は国や行政がまかなえるとしても、被災して傷ついた人の心や避難などでバラバラになったコミュニティといったものは物やお金ではなかなか元どおりには戻らないという事です。逆に言えば地域のネットワークや人と人の交流そういった人的ネットワークに普段から力を入れている地域はとてもまとまりやすく復興も早いという事は挙げられます。脅威を乗り越えるにはお金や物では得られない心のつながりが必要なのです。
2020年、僕は東日本大震災の犠牲に遭われた方の供養とコロナの1日も早い沈静化を祈念する為に四国遍路を巡礼しておりましたところ、各寺に同じスローガンで「四国は一つ」というメッセージが貼られている事に気がつきました。実際四国を巡礼し結願してみて思ったのは四国は島でできていて大変小さい。この四国にはまだ東日本大震災のような未曾有の大災害は起きてはいないが近い将来必ず来ると言われている。もし何かが起こった時四国は陸続きではないのだから、本州や国の支援をどこまであてにできるのかわからない。四国は四国で今こそひとつになる必要があるのだが、それはどうやって、、そう考えた時に今回の「芸術の四国遍路展」のアイデアが浮かびました。僕が今東日本でやっているアートによる人と人ををつないでいくやり方をはまだ南海トラフが来ていない四国でも有効であるという考え方です。
さらに心配なのは震災だけではないかもしれません。今日本は様々な問題を抱えています。高齢化、少子化、都市部との格差、じわじわと地域の人と人のつながりがピンチになっていく諸問題を四国は抱えており、それは今後郷土をどのように暮らしやすい街にすれば良いのかというまちづくりにもやはり直結していく待った無しの問題だと考えました。
去年1年かけて声かけリサーチさせていただいたところ、四国にはアートシーンがありました。本当に才能あるユニークなアーティストがたくさん住んでいて、しかもそれは立派な公共の美術館で活動するだけではなく、ただひたすらに面白いからやっているような、そんなオルタナティブな活動を果敢に挑み続けているそういう作家さんもたくさんいるということを発見し、みなで共有したいという手応えを感じました。
まず第一回目の芸術の四国遍路展といたしましては、徳島、高知、愛媛、香川にゆかりのあるアーティストを各県で3名お声かけさせ ていただいて、合計12名と僕で開催させていただくことになりました。できれば、一回だけで終わる事なく、繰り返し作家の交流が 行われる事をきっかけに四国4県が気軽に行ったり来たりしながらつながりを太くし、四国全体がアートで活発になっていく事でいざ というとき、助け合える社会につながっていけば良い、そんな未来をイメージしながら「芸術の四国遍路展」はスタートしていきます。
とは言え、「芸術の四国遍路展」は美しい言葉ばかり並べてもやってはいられません。なぜなら芸術、アートというものは本当に表現が自由すぎて個性的すぎるものだからです。うまくいけばいいけれど本当のところは展覧会が始まってみないと誰もわからないし、途中 で意見が分かれたり喧嘩だってあるかもしれません。現実そういうことは経験上アートの文脈においてよく起きるんです。だからこそ 僕は「四国は一つ」とこっそりもう一つのテーマをこしらえました。それは「アートより友達」というスローガンです。作家リストを みていただければわかりますがメンバーの表現領域は実に多様性に満ちています。音楽あり陶芸あり木彫、絵画 etc..。とてもじゃないがまとまりがないように見えますが、、本当は目に見える作品の向こう側にある心のつながりがアートの可能性を引き出してくれるのではないかと期待しています。ゆるい連帯と無限の多様性、まだ誰もみたことのないような展覧会はそういうところから生まれるものだ と確信しており、夢を語らせていただくならばそういう心の開放の祭典を四国から世界へ発信していくことができればと思っています。
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