「土を泳ぐ」gallery TOWED(ギャラリー トウド)

「土を泳ぐ」gallery TOWED(ギャラリー トウド)

名称:「土を泳ぐ」gallery TOWED(ギャラリー トウド)
会期:2022年10月7日(金)~2022年10月22日(土)
開館時間:13:00 〜 20:00
休館日:月曜日、火曜日、水曜日、木曜日
入場料:無料
会場:gallery TOWED(ギャラリー トウド)2Fスペース
住所:〒131-0046 東京都墨田区京島2-24-8
URL:gallery TOWED(ギャラリー トウド)

この度、稲吉善光、𡧃野湧、時山桜の3人展『土を泳ぐ』を開催します。
絵画を鑑賞するとき、しばしば我々はそこに「空気感」や「奥行き」「温度」や「動き」のようなものを感受します。しかしその表現の媒介となる素材(=絵の具など)は、決してそれ自身に視覚的印象と同一の奥行きや温度を有しているわけではありません。
大まかに近世までの絵画とは、その本来的な素材性を隠匿しながら絵の具というものにそれと異なる物質性、あるいは空気のような非物質性を憑依させる視覚観念の錬金術だったと言えるかもしれません。
20世紀に入ってジャクソン・ポロックのような画家は、そうした歴史を踏まえた上で「絵の具が何ものにも憑依せず絵の具のまま定着している絵画」というものを発明しました。異なる物質・あるいは非物質に憑依するという絵の具のイリュージョンを徹底的に排し「絵の具がパネル上に撒かれている」状況それ自体をテーマとし提示する「現実と地続きの絵画」は、現実と独立した擬似的な絵画世界への没入という既成の視覚表現のあり方を相対化し、近代芸術の未開拓領域を可視化しました。
一方でそうした発明のカウンターとして、再び「何が描かれているのか」という主題性によって作品を成り立たせるポップアートのような潮流もあり、その相互の揺り戻しによって今日の造形芸術は発展してきたと言えます。
そうした世界観に立った上で、今回取り上げる3人の作家をこの芸術の物質性をめぐる巨大な営みの中にマッピングしたとき、先述した両軸の揺り戻しの狭間の地帯が見えてくるように思います。
ミニマルな色彩の諧調と無作為的なダメージによって非物質的な感覚を限界まで削ぎ落としつつ、ギリギリのところに具象性を踏みとどまらせる時山桜。
陶という人類史上最も普遍的な造形素材を軸に既製品を模造し、あるいは「陶性の絵画によって陶磁器を描画する」という、素材の意味を何重にも問う試みを展開する𡧃野湧。
装飾性を排した独自のスタイルによって、まるで自然界に存在する石や土に接近する風合いの器を制作する稲吉善光。
3人の仕事を取り上げることを通じて、素材と表現をめぐる思考の汽水域で広がりを見せる豊潤で多様な創造の地平を示すとともに、そこで展開されている表現の最新の動向を見たいと思います。

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