名称:特別展「第74回 正倉院展」奈良国立博物館
会期:2022年10月29日(土)〜11月14日(月) 会期中無休
会場:奈良国立博物館 東新館・西新館
住所:奈良県奈良市登大路町50
開館時間:9:00〜18:00
※金・土・日曜日、祝日(11月3日)は20:00まで
※入館はいずれも閉館60分前まで
観覧料:一般券 2,000円、高大生券 1,500円、小中生券 500円
※観覧には、前売日時指定券の予約・発券が必要(当日券の販売はなし)
※博物館チケット売り場での販売はなし
※障害者(介護者1名含む)、奈良博プレミアムカード所持者は無料(無料指定券の予約・発券が必要)
※前売日時指定券は、9月26日(月)10:00より、ローソンチケット(Lコード 58885)にて発売(詳細については博物館公式ホームページ、ないし正倉院展公式サイトを参照)
※開催内容は変更となる場合あり
住所:〒630-8213奈良県奈良市登大路町50
TEL:050-5542-8600
URL:奈良国立博物館
正倉院宝物は、かつて東大寺の倉であった正倉院に収納されていた品々で、その数はおよそ9000件を数えます。正倉院展は、これらの中から毎年60件前後が厳選され公開される展覧会で、今年で74回目を迎えます。今年の正倉院展も例年と同様に、美しい工芸品から、奈良時代の世相がうかがえる文書まで、様々な品が出陳されます。
天平勝宝8歳(756)6月21日、聖武天皇の四十九日に合わせ、后きさきの光明皇后が東大寺盧る舎那仏に献納した品々は、正倉院の中でもとりわけ由緒ある宝物として知られています。今年はその中から、繊細かつ華やかな文様が施された漆背金銀平脱の八角鏡(黒漆地に金銀飾りの鏡)などの工芸品のほか、黄熟香(蘭奢待)と並んで名香の誉れ高い全浅香(香木)が出陳されます。
聖武天皇と光明皇后の娘・称徳天皇にまつわる銀壺こ(大型の銀製の壺)も見逃せません。この品は、天平神護3年(767)2月4日、称徳天皇が東大寺に行幸した際の大仏への献納品と考えられ、その破格の大きさもさることながら、表面に施された騎馬人物や鳥獣の細かな線刻文様が目をひく逸品です。
さらに今年は、奈良時代の装いに関連する宝物が多数出陳されるのも特徴です。犀角の魚形(腰飾り)や彩絵の水鳥形(鳥形の飾り具)は、高貴な身分の人が腰帯から下げたり、衣服に縫い付けたりして用いたと考えられ、わずか数センチの大きさでありながら、魚鱗や鳥翼に施された精密な細工には目を見張ります。また、犀角象牙といった珍貴な素材を用い、美しく装飾された斑犀の把緑牙撥鏤るの鞘金銀荘かざりの刀子(腰帯から下げた小刀)は、実用性をも兼ね備えた装身具の一種として注目されます。
奈良時代は仏教が国家鎮護の役割を担い、法会えが盛んに営まれていました。伎楽面力士(楽舞の面)は、天平勝宝4年(752)の大仏開眼会えで使用されたことが墨書から判明する品で、表面に施された鮮烈な赤が華やかな法会の情景を浮かび上がらせるようです。粉地彩絵の几(献物をのせた台)の鮮やかな彩色文様や、金銅の幡(金銅製の旗)に見るバラエティーゆたかな透し彫り文様もまた、法会のきらびやかさを引き立たせたことでしょう。このほか、空海が本格的な密教を伝える以前の古式の法具・鉄の三鈷こ(古密教の法具)は、厳かな法会の様子を今に伝えています。
これら数々の宝物は、伝統を重んじる人々の弛たゆまぬ努力によって守り伝えられてきました。会場の最後に展示する錦繡綾絁等雑張(東大寺屛風に貼り交ぜられた染織品)は、江戸時代の天保4年(1833)の開封を機に屛風に仕立て整理された奈良時代の古裂の断片で、正倉院における保存整理のさきがけとして象徴的な意義をもっています。これらの染織品を通して、現代に至る宝物伝承の取り組みに思いを馳はせていただければと思います。
出陳宝物
59件(北倉9件、中倉26件、南倉21件、聖語蔵3件)
うち8件は初出陳
出陳一覧:
公開講座
① 令和4年(2022)10月29日(土) 「正倉院宝物の保存―宝物を覆う―」
髙畑 誠 氏[宮内庁正倉院事務所保存課保存科学室員]
② 令和4年(2022)11月12日(土) 「正倉院の仏具―奈良時代の寺院と法会の世界― 」
三本 周作[奈良国立博物館学芸部研究員]
時間:午後1時30分~3時(午後1時開場)
会場:奈良国立博物館 講堂
定員:各90名(事前申込制)
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