名称:「芸術家たちの旅」山梨県立美術館
会期:2022年9月13日(火)~2022年12月11日(日)
会場:テーマ展示室 [コレクション展B]
住所:〒400-0065山梨県甲府市貢川1-4-27
TEL:055-228-3322
URL:山梨県立美術館
新型コロナウイルス感染症のパンデミックが始まり、人の動きを抑制するという対策の結果、一般の人はもとより芸術家もまた日本を出て他の国へ旅することが非常に困難となりました。しかし、芸術家が旅をし、さまざまなものを取り入れて制作の糧とすることは重要であり、技術を学びキャリアを築いていく上でのステップとすることもあれば、旅を背景とし、異国のモチーフを表現した作品が生み出されることもありました。
当館のコレクションの多くは明治以降の近現代の作品ですが、旅によって自らを高め、制作へと結びつけていった作家たちが多く含まれています。芸術家たちは、日本を離れ、どこで何を得ようとしたのか。およそ100年前からの歴史を振り返りつつ、いくつかのテーマをもとに、コレクションの作品に見る芸術家の旅の軌跡を辿ります。
山梨県出身の深沢幸雄(1924-2017)は、独学で銅版画の技術を習得し、モノクロームの版画を制作、発表していました。しかし1963(昭和38)年に技術指導のためにメキシコを訪れ、マヤ文明やアステカ文明の遺跡を訪れる機会を得、強烈な印象を抱きます。それを表現するために、帰国後からは一転し鮮やかな色彩の版画が制作されるようになります。本作はその第1作であり、原初的な記号や文様のようなものと鮮やかな橙色が組み合わされています。旅はその後も深沢の創作の源泉となりました。
山梨県出身の佐藤正明(1941-)は、今もニューヨークで制作に励んでいる。ロンドンを経てニューヨークへ移住し、「サブウェイ」や「ニューススタンド」のシリーズを制作した。それらはニューヨークの街から受ける刺激をもとに生み出されたものであり、多くのアーティストにとってさまざまなアイディアや恩恵をもたらす街を自分の視点によって切り取った作品と言える。佐藤はおよそ50年にも及ぶ長い旅を続けながら、集大成となる作品制作に挑んでいると言い、旅の終着点は日米どちらの地になるかではなく、最終的に何を描き上げるかであると語っている。
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