「クリスマス企画─ヴェネチアン・グラスで辿る祈りのキセキ─」箱根ガラスの森美術館

「クリスマス企画─ヴェネチアン・グラスで辿る祈りのキセキ─」箱根ガラスの森美術館

名称:「クリスマス企画─ヴェネチアン・グラスで辿る祈りのキセキ─」箱根ガラスの森美術館
会期:2022年11月3日から12月25日まで
開館時間:午前10時から午後5時30分(ご入館は5時迄)
入館料:大人1,800円 大高生1,300円 小中生600円
住所:住所:〒250-0631神奈川県足柄下郡箱根町仙石原940-48
TEL:0460-86-3111
URL:箱根ガラスの森美術館

人頭瓶

1世紀 東地中海沿岸域
人頭瓶 1世紀 東地中海沿岸域

国民の約80%がカトリックを信仰するイタリアでは、様々な聖人たちの祝日が並ぶ教会暦の下で一年を過ごします。その中で、最も大切な祝祭がイエス・キリストの降誕を祝うクリスマスです。
クリスマス・イブの夜、「神の家」である教会ではミサが執り行われ、人々は祈りの中で過ごします。ミサはクリスマス当日にも行われ、敬虔な信徒はそこにも足を運びます。この祈りの場で用いられる聖具には、一度は禁止されながらもガラスが多用されました。ヴェネチア共和国では、ガラス産業が最盛期を迎えた16世紀以降、アンポリーナ(ブドウ酒瓶)や聖餐杯など様々な聖具が制作され、人々の祈りを届ける手助けをしてきました。
イエス・キリストという呼び名は、「イエスこそキリスト(救い主)である」という信仰を端的に表現しています。ギリシア語である「キリスト」は、「油を注がれた者」を意味する「メシア」というヘブライ語を原語としています。古代イスラエルにおいて、王が即位の際にオリーブ油を王の頭に注ぐ習慣があった事から、「メシア」は王に与えられる称号でした。また、油に香りを移した香油は、旧約聖書の恋愛を歌った雅歌や、イエスに香油を注ぐ女性の話など、聖書に度々登場します。やがて、キリスト教において油は、神の恩寵の象徴となりました。
イエスが生きていた紀元前後、古代ローマ帝国領域では、貴重な香料を納める香油瓶をガラスで数多く制作していました。なお、イエスの生誕を祝うため、東方の三博士が携えてきた贈り物3つの内2つも乳香と没薬という香料だったと伝えられています。この生誕場面を再現した模型を「プレゼピオ」と呼び、イタリアではクリスマスの前日から、東方の三博士がやって来たとされる1月6日の公現節の翌日まで飾る習慣があります。マリアやヨセフに三博士、羊飼いや動物の人形の中央にゆり籠を置き、イブの深夜には、赤子のイエスの人形を寝かせて明かりを灯します。
本展覧会では、12月25日の聖なるクリスマスまでの期間、紀元前後のローマン・グラスによる香油瓶やヴェネチアン・グラス製のプレゼピオ、聖具の数々を通して、人々の祈りのキセキを辿ります。

長頸瓶

1世紀 東地中海沿岸域
長頸瓶 1世紀 東地中海沿岸域
聖骨容器形聖餐坏

18世紀 ヴェネチア
聖骨容器形聖餐坏 18世紀 ヴェネチア
アンポリーナ

16世紀末-17世紀初頭 ヴェネチア
アンポリーナ 16世紀末-17世紀初頭 ヴェネチア
プレゼピオ(20世紀|ヴェネチア)
プレゼピオ(20世紀|ヴェネチア)

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