「齋藤詩織展 -どこでもワンダーランド-」銀座三越

「並ぶメロディ」 130.3×162.1cm 油彩、キャンバス 2022年

名称:「齋藤詩織展 -どこでもワンダーランド-」銀座三越
会期:2023年1月11日(水) ~ 2023年1月16日(月)
会場:本館7階 ギャラリー ※最終日は午後5時まで
住所:〒104-8212 東京都中央区銀座4-6-16
TEL: 03-3562-1111
URL: 銀座三越

ありきたりの何気ない風景を独特な色使いで描く彼女の作品は、見る者を不思議な世界に引き込んでしまう。
それは現実的な場面にシュールなモチーフやマチエールが存在し、不確定な時代や場所、さらに何かの前兆を感じさせる空気など、日常の生活において共感できそうでできない謎めいた世界だ。
彼女の持つ独特な色彩から醸し出すワンダーランドをご紹介いたします。
 私は最近「眺め」を多く描きます。眺めとは「遥に見ること」。言ってしまえば「ざっくり見ること」と考えるのです。
 見逃したり見ていても関心がなかったりすれば、「何もなかった」ことになるかもしれません。
しかしこの眺めの中には、自動販売機で当たりが出た人がいるかもしれない、財布を落とした人がいるかもしれない、未知との遭遇を果たし動揺している人や何かがいるかもしれない、たった今芽吹いた草木があり、地中から顔を出したミミズが小さな石をほんの少し転がしたかもしれません。
兎にも角にも「何か」が「何か」に起こっているはずです。
 それらの物事は遥に見ている私にとって重大なことではありません。
ですが確かに「在ること」として受け取り、描いていきたいと思っています。
この「在ること」は「実」ですが、「虚」にも当てはまります。嘘も存在はしているからです。
虚(ないこと)と実(あること)の重大さはさまざまですが、たとえば「虚」は人の嘘という形で発信された場合、伝えられた相手の関心が寄せられない限り「実」として存在し続けることは可能ではないかと考えます。
 今日のお昼ご飯が「焼きそば」だったとして、それを人や猫に「今日のお昼はラーメンを食べたよ」と話しても相手が関心を寄せることがなければ「今日のお昼ご飯はラーメンだった」ということ(虚)を事実として存在させてもいいのではないでしょうか。
 つまり、さまざまな情報を多く目にできる世の中で、実際に自分自身でいわゆる「真実」とされるものを確かめられる機会は限られています。
自身の体験でないことを人はイメージしづらく、それらは日常の眺めの一部になりやすいはずです。
だから眺めの中には、何が「在っても」おかしくないと思うのです。
 また、ある人が「美しい」と感じる景色があったとして、それらを形作るゆえんをよく考えます。
「美しい」とは主観の感覚ですが、その人が美しくないと感じるものが積みあがった末にできた景色だということもあるかもしれません。
そういう裏表も、虚実も、存在する中で、物事は成り立っていると思うのです。
  齋藤詩織

「並ぶメロディ」 130.3×162.1cm 油彩、キャンバス 2022年
「並ぶメロディ」 130.3×162.1cm 油彩、キャンバス 2022年

齋藤 詩織  Shiori Saito
1992年 埼玉県生まれ
2018年 東京藝術大学美術学部絵画科油画専攻 卒業
2020年 東京藝術大学大学院修士課程油画技法材料研究領域 修了
個展
2022年 「ほの明るい配剤の底から」レイジンシャギャラリー(東京)
「ART SOLO」(台北)
「ボーダーボーダー」小林画廊(東京)
グループ展
2015年 「家」借家(茨城)
「synchronize」新宿眼科画廊(東京)
2016年 「今夜はカレーよ」 個展 根津カレーLucky(東京)
2018年 「first展」長谷壱番館 夢ギャラリー
2019年 「シェル美術賞展2019」国立新美術館(東京)
2020年 「FACE展2020」SOMPO美術館(東京)
「Night Festa」小林画廊(東京)
「GIFT」小林画廊(東京)
2021年 「Art Fair Tokyo」東京国際フォーラム(東京)
「Art Osaka」大阪市中央公会堂(大阪)
「VOLTA Art Fair」ELYS,Basel(スイス)
「Art Taipei」online event
「GIFT」小林画廊(東京)
2022年 「絵画のゆくえ 2022」SOMPO美術館(東京)
「Art Fair Tokyo」 東京国際フォーラム(東京)
「VOLTA Art Fair」ELYS,Basel(スイス)
「ART OSAKA」大阪市中央公会堂(大阪)
「ART JAKARTA」 ArtsphereGallery Booth(ジャカルタ)
「ART FAIR ASIA FUKUOKA」(福岡)
「HOTEL ART FAIR」(バンコク)
「GIFT」小林画廊(東京)
アワード
2019年 「シェル美術賞展2019」 松井えり菜審査員賞
2020年 「FACE展 2020」 損保ジャパン日本興亜美術賞 優秀賞
東京藝術大学 杜賞

関連記事

コメント

  • トラックバックは利用できません。

  • コメント (0)

  1. この記事へのコメントはありません。

ピックアップ記事

  1. 「動き出す浮世絵展 TOKYO」寺田倉庫G1
  2. 特別展「答志島~古代から続く海民たちの島」鳥羽市立海の博物館
  3. 「うつす美 ─ 江戸時代の絵画学習」京都府京都文化博物館
ページ上部へ戻る