川端龍子 「コンストラクション 龍子作品の構築性をめぐって」大田区立龍子記念館

川端龍子 「コンストラクション 龍子作品の構築性をめぐって」大田区立龍子記念館

名称:川端龍子 「コンストラクション 龍子作品の構築性をめぐって」大田区立龍子記念館
会期:2022年10月22日(土)~2023年1月15日(日)
開館時間:9:00 〜 16:30
休館日:月曜日 月曜日が祝日の場合は月曜日開館し翌日休館
   展示替期間・年末年始休館
   12月29日から1月3日・1月10日は休館
   1月9日は開館
入場料:一般(16歳以上) 200円、6歳以上 100円、未就学児・65歳以上・障害者手帳提示と付き添い1名 無料
会場:大田区立龍子記念館
住所:〒143-0024東京都大田区中央4-2-1
TEL:03-5777-8600
URL:大田区立龍子記念館

川端龍子 「コンストラクション 龍子作品の構築性をめぐって」大田区立龍子記念館
川端龍子 「コンストラクション 龍子作品の構築性をめぐって」大田区立龍子記念館

龍子記念館は昭和38(1963)年に開館し、来年、開館60周年を迎えます。日本画家・川端龍子(かわばたりゅうし、1885-1966)は、自身の喜寿を記念し「龍子なる画人がこの世代に存在したことの証左(註1)」としてこの美術館を造り上げたと述べています。龍子の画業をたどっていくと、美術館構想の萌芽は、龍子が「会場藝術」を主張し大画面の作品を制作し始めた昭和初期までさかのぼることができます。大作は売物にならず無用の長物だとする当時の批判に対し、龍子は「近代美術館が出来さえすれば問題は無い(註2)」と記念館開館のおよそ30年前に発言しています。さらには、新時代の日本画は「なんらかの大會堂、又は大衆的大建造物に於ける荘厳の目的の為に、その黄金期を現出する(註3)」とまで主張し、建造物に見合った大画面作品の必要性を訴えたのでした。
このような龍子の作品にみられる建造物との親和性の追求は、龍子が大の建築好きだったことと関連付けて考えることもできます。記念館のみならず、自宅やアトリエ、そして伊豆の別荘等も龍子自身が設計したもので、あるインタビューでは、「初めて普請をしたのは25歳の時」で、70歳の時には「いつの間にか棟上げした回数が20回」であったと答えています(註4)。龍子の晩年における記念館の建造は悲願であり、まさに龍子芸術の殿堂となるために造られたと言っても過言ではありません。
龍子の作品は、描かれたモチーフの象徴性、表された意味の重層性、そして、大画面ゆえの空間性から、時に「真に独創的であるのは、構築性があるがゆえである(註5)」と評されています。コンストラクション(構築性)と題した本展は、建造物との親和性を追求した龍子の作品について、描かれた画面の中にも堅牢な構築性があることに着目し展示を構成しました。連作を通じて大きな物語を紡ぎ出そうとした《使徒所行讃》、《一天護持》、《神変大菩薩》は、大正15(1926)年から昭和3(1928)年にかけて役行者の物語をテーマに展開した龍子の初めての連作です。また龍子は、近代的なモチーフを日本画で表現しようと造船所の様子を描いた《海洋を制するもの》(1936)や戦闘機を大画面に配した《香炉峰》(1939)、民家の屋根のアンテナが象徴的な《日々日蝕》(1958)を制作しました。さらには、建造物を描いた作品としては、自身でデザインした別荘の垣根《龍子垣》(1961)、名所を巡る旅や霊場巡礼で目にした《陽明門》(1955)、《清水寺》(1959)等を展示し、本展では様々な創意によって龍子の作品の中に描き込まれた「構築性」について再考します。
註1『社団法人龍子記念館館記1』1963年、註2「会場藝術の主張」『東陽』1936年6月註3「會場藝術の辯」『アトリヱ』1931月2月、註4「<趣味に教えられる>棟上げ二十回」『オール生活』1956年11月、註5川口直宜「画人・川端龍子」『龍子記念館所蔵作品図録』(1991年)

川端龍子《龍安泉石》1924年、大田区立龍子記念館蔵
川端龍子《龍安泉石》1924年、大田区立龍子記念館蔵
川端龍子《一天護持》1927年、大田区立龍子記念館蔵
川端龍子《一天護持》1927年、大田区立龍子記念館蔵
川端龍子《使徒所行讃》1926年、大田区立龍子記念館蔵
川端龍子《使徒所行讃》1926年、大田区立龍子記念館蔵
川端龍子《龍子垣》1961年、大田区立龍子記念館蔵
川端龍子《龍子垣》1961年、大田区立龍子記念館蔵
川端龍子《香炉峰》1939年、大田区立龍子記念館蔵
川端龍子《香炉峰》1939年、大田区立龍子記念館蔵

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