「宮永愛子展」imura art gallery

「宮永愛子展」imura art gallery

名称:「宮永愛子展」imura art gallery
会期:2023年07月22日(土) 〜 2023年08月05日(土)
会場:imura art gallery
時間:12:00~18:00
休館日:日・月曜日、祝日
料金:無料
住所:〒606-8395 京都市左京区丸太町通川端東入東丸太町31
TEL: 075 761 7372
URL:imura art gallery

ナフタリンの昇華・結晶化する特性を生かしたオブジェや、塩や葉脈、陶器の貫入音を使ったインスタレーションなど、気配の痕跡を用いて時を視覚化する作品で注目を集めるアーティスト、宮永愛子の個展です。
宮永にとってimura art galleryでは初個展となる本展では、代表作のひとつである《waiting for awakening -wall clock-》をはじめ、新作の《くぼみに眠る海-猫-》など、ナフタリンとガラスを素材とした作品を中心に展示します。
《waiting for awakening -wall clock-》は、ナフタリンで作られた時計を透明樹脂に封入した作品で、一つだけ小さな穴が開けられています。その穴はシールで塞がれていて、時計は樹脂のなかで静かに眠っています。封印を解くと、作品は空気に触れながら、ゆっくりと目を覚まします。作品のなかにある気泡は、一層一層樹脂を流し込む過程で、その場所の空気を閉じ込めたものです。
一方、新作の《くぼみに眠る海-猫-》をはじめとするシリーズは、宮永のルーツに端を発する作品です。
宮永の曽祖父は明治時代に「宮永東山窯」を開いた京焼の陶芸家・初代宮永東山。現在も宮永の実家に残る陶房には、かつて使われていた多くの陶芸用の石膏型が今も残っています。
宮永にとって石膏型は幼いころからいつもそこにあり、特に気に留めてはいなかったといいます。しかし2021年、約16年ぶりに故郷・京都に拠点を戻した宮永は、この石膏型を見つけ「その型に在るくぼみにはどんな景色が眠っているのだろう」と思いを馳せます。そして石膏型にガラスを流し込むことで《くぼみに眠る海》シリーズを生み出しました。
失われた型のパーツはそのままに、くぼみをガラスで満たし、その不在(空間)を形にして取り出す。この行為を宮永は「過去に会いに行くような感覚」と語っています。かつて型から生み出されていた陶彫は、現存するものはもうほとんどありません。しかし手に伝わる作品の重みは、そこに確かな歴史が眠っていることを感じさせてくれます。
彼女の作品を通して、すべてのものが「変わりながらもあり続ける世界」を感じて頂ければ幸いです。
宮永愛子
1974年京都市生まれ。1999年京都造形芸術大学(現・京都芸術大学)芸術学部美術科彫刻コース卒業。2008年東京藝術大学大学院美術研究科先端芸術表現専攻修士課程修了。2013年「日産アートアワード」初代グランプリ受賞。
主な個展に「宮永愛子:なかそら-空中空-」国立国際美術館(大阪、2012)、「みちかけの透き間」大原美術館有隣荘(岡山、2017)、「宮永愛子:漕法」高松市美術館(香川、2019)など。

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