「Sparkling Aquarium 〜あなたに伝えたい、きらめく命 vol.1」伊勢原市立図書館

「Sparkling Aquarium 〜あなたに伝えたい、きらめく命 vol.1」伊勢原市立図書館

名称:「Sparkling Aquarium 〜あなたに伝えたい、きらめく命 vol.1」伊勢原市立図書館
会場:2023年8月1日(火)~2023年8月13日(日)
会場:伊勢原市立図書館
開館時間:9:00 〜 19:00
   初日は11:00から
   最終日は15:00まで
   土曜日・日曜日・祝日は17:00まで
休館日:月曜日
   祝日は開館し翌日休館(翌日が土曜日・日曜日・月曜日の場合は火曜日休館)
   毎月第1水曜日は休館
入場料:無料
住所:〒259-1142 神奈川県伊勢原市田中76
電話:0463-92-3500
URL:伊勢原市立図書館

正倉院宝物の歴史は、天平勝宝8歳(756)6月21日、聖武天皇の四十九日である七七忌に際して光明皇后が天皇遺愛の品を大仏に献納したことにはじまります。献納された品々は、そのときに作成された献納品のリスト『国家珍宝帳』に記載され、正倉院宝物の中核に位置付けられています。本年はその中から、『国家珍宝帳』の筆頭に記載される「九条刺納樹皮色袈裟(くじょうしのうじゅひしょくのけさ)」(刺し子縫いの袈裟)をはじめ、「漫背八角鏡(まんぱいのはっかくきょう)」(無地の花形鏡)や「鳥草夾纈屛風(とりくさきょうけちのびょうぶ)」(板じめ染めの屛風)などが出陳されます。中でも袈裟は、聖武天皇の仏教への篤い信仰を象徴する品として、正倉院宝物を代表する屈指の名宝です。
正倉院には、奈良時代に宮廷や寺院内で使われた楽器や調度品のほか、貴人たちのアクセサリーなども伝わっています。「楓蘇芳染螺鈿槽琵琶(かえですおうぞめらでんのそうのびわ)」(螺鈿飾りの四絃琵琶)は、槽に施されたきらびやかな螺鈿の装飾が目を惹く一方、撥受(ばちう)けには中国・盛唐期の画風にもとづく山水画が描かれ、奈良時代の異国趣味を濃厚に示しています。「平螺鈿背円鏡(へいらでんはいのえんきょう)」(螺鈿飾りの鏡)や「銀平脱鏡箱(ぎんへいだつのかがみばこ)」(鏡の箱)、「斑犀把漆鞘黄金葛形珠玉荘刀子(はんさいのつかうるしのさやおうごんかずらがたしゅぎょくかざりのとうす)」(腰帯から下げた小刀)といった品々にも、螺鈿・金銀・珠玉類など高級な素材が惜しげもなく使われています。これらの宝物を通して、奈良時代の貴人たちの異国情緒あふれる華やかな暮らしぶりが垣間見られます。
東大寺など大寺院を飾った多彩な仏具類も見逃せません。「碧地金銀絵箱(へきじきんぎんえのはこ)」(花鳥文様の脚付き箱)は明るい青の色彩が目にも鮮やかな品ですが、一方で「刻彫梧桐金銀絵花形合子」(花形のふたもの)といった花葉の生き生きとした彫刻に目を見張る品もあり、正倉院の仏具の多様な装飾表現をご覧いただくことができます。また、東大寺初代別当をつとめた良弁(ろうべん)(689~773)の1250年御遠忌にあたる本年、良弁自ら署名した文書を含む「正倉院古文書正集 第七巻」(少僧都良弁牒(しょうそうずろうべんちょう)ほか)が出陳されることも注目されます。そのほか、道教思想にもとづく仙薬(せんやく)の容器ともいわれる「青斑石鼈合子(せいはんせきのべつごうす)」(スッポン形のふたもの)などを通じ、奈良時代の信仰世界の奥行きと広がりにも触れることができます。
正倉院では、長い歴史の中で残片となったものも大切に守り継がれてきました。正倉院事務所による最新の研究成果では、「漆六角厨子残欠(うるしろっかくのずしざんけつ)」(厨子の部材)のそれぞれのパーツの特定が試みられ、長六角形の平面をもつ奈良時代の厨子の当初の姿が浮かび上がってきました。本年は、こうした厨子や正倉院の塵芥文書(じんかいもんじょ)の復元研究の成果を通し、宝物が織り成す歴史のロマンを体感してください。

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