名称:「植田正治の春夏秋冬」植田正治写真美術館
会期:2023年9月16日(土)〜12月10日(日)
会場:植田正治写真美術館
観覧料金:当日一般1,000円
休館日:火曜日
住所:〒689-4107 鳥取県西伯郡伯耆町須村353-3
tel.0859-39-8000
URL:植田正治写真美術館
植田正治の写真集の中に、『童暦(わらべごよみ)』や『子供の四季』といった季節を強く意識したタイトルがある。生涯にわたり山陰の子供たち、人や風土を被写体にしてきた植田にとって、季節は確かに重要である。しかし、植田は単に季節感を強調するのではなく、被写体とともにゆるやかに流れゆく時間、そして季節の変化を感じながら、「写真すること」を楽しんだのだろう。
植田の代表作、《パパとママとコドモたち》は、ことさらに季節を強調した作品ではないが、背景となる薄曇りの空は、季節が春だからこそ撮影でき、まるでスタジオで撮影されたかのような平面的な印象を与えている。桜は「春」、白いTシャツ姿の子供は「夏」、落ち葉は「秋」、降り積もった雪は「冬」など、季節をストレートに感じさせてくれるアイテムは様々にある。このような、時に雄弁すぎるアイテムは、もちろん植田の写真の中にも数多く登場した。ただ、植田の写真の中では、観る者に不思議と静かに、季節の訪れ、深まりを語りかけてくるように感じられる。
本展で展示される写真はすべて、モノクロームばかりだ。つまり色彩による季節感の主張はない。春夏秋冬、折々のシンプルなイメージの数々を辿りながら、山陰の風と光の中で、植田が何を見て、何を感じとったかを読みとれるだろう。
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