収蔵品展078「静物画の世界」東京オペラシティ アートギャラリー

収蔵品展078「静物画の世界」東京オペラシティ アートギャラリー

名称:収蔵品展078「静物画の世界」東京オペラシティ アートギャラリー
会期:2024年1月17日[水]─ 3月24日[日]
会場:ギャラリー3&4 寺田小太郎メモリアルギャラリー(東京オペラシティ アートギャラリー 4F)
開館時間:11:00 - 19:00(入場は18:30まで)
休館日:月曜日(祝日の場合は翌火曜日)、2月12日[日](全館休館日)
入場料:企画展「ガラスの器と静物画 山野アンダーソン陽子と18人の画家」の入場料に含まれます。
主催:公益財団法人 東京オペラシティ文化財団
協賛:日本生命保険相互会社
協力;相互物産株式会社
住所:〒163-1403東京都新宿区西新宿3-20-2
TEL:03-5777-8600
URL:東京オペラシティ アートギャラリー

今回の収蔵品展は、企画展「ガラスの器と静物画山野アンダーソン陽子と18人の画家」にあわせ、当館の寺田コレクションの中から静物画を紹介する。静物画とは、卓上の瓶や花、果物など、周囲にある物を題材として描く絵画のジャンルである。歴史的には17世紀頃に西洋絵画のいちジャンルとして確立したが、富や豊かさの象徴として蒐集物を描いたり、モチーフに特別な意味や思いを込めたり、また特に近代以降は、対象の形態把握や色や形による画面構成の実験としてなど、さまざまに静物画が描かれてきた。当館コレクションを代表する画家のひとりである難波田龍起も静物画を描いている。そこには、対象の形態を単純化して捉えようとする抽象への指向や、難波田が抱いていた古代への憧憬をみることができる。静物画を多く手掛ける五味文彦の作品は、緻密で写実的でありながら、常にどこか非現実的な空気を漂わせている。あるいは、河原朝生や小杉小二郎の作品は、静謐で独自の詩情を湛えている。いずれも画家は共通して身近にある物にまなざしを向けているが、その多様なあらわれに静物画の魅力があるといえるだろう。
また、寺田コレクションには「幻想的な絵画」ともいえる特徴を持つ作品群があるが、静物画の中にもそのような幻想性をみることができる。たとえば、川口起美雄や坂田哲也、藤野一友の作品は、文脈をずらすことで見る者に違和感や驚きを与えるシュルレアリスム的手続きがとられている。河内良介や落田洋子の作品は、静かだった物たちが生き生きと動き出すようなファンタジックな空気に満ちている。テーブルの上の瓶や果物をじっと見ていると、次第にそれらが山や建物に、テーブルがひとつの街のように見えてきたことはないだろうか。身近な現実が少しずらされ、不可思議な世界が立ち現れてくるような、寺田コレクションの静物画の世界をぜひ楽しんでもらいたい。

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