名称:千賀健史 「まず、自分でやってみる。」BUG
会期:2024年3月6日(水)〜2024年4月14日(日)
会場:BUG
開館時間:11:00 〜 19:00
水曜日は20:00まで
休館日:火曜日
入場料:無料
住所:〒100-6601 東京都千代田区丸の内1-9-2 グラントウキョウ サウスタワー 1F
URL:BUG
株式会社リクルートホールディングスが運営するBUGでは、2023年3月6日(水)より、千賀健史個展「まず、自分でやってみる。」を開催します。本企画はBUGの活動方針の一つである“キャリアの支援”に基づき、更なる飛躍を目指すアーティストに対し、その足がかりとなることを目的とした展覧会です。
千賀は2017年の第16回写真「1_WALL」に、インドのカースト制度、貧困、学歴社会をテーマにした作品“Bird, Night, and then”で応募し、グランプリを受賞しました。「1_WALL」では、社会で起こる事象を構造的に捉えた視点や、フィクションとノンフィクションを交錯させる編集力、写真媒体の活用の巧みさなどが評価されました。2018年には自身初の個展「第16回写真「1_WALL」グランプリ個展“Suppressed Voice”」をガーディアン・ガーデンにて開催しています。 国外での評価としては、中国の「第8回大理国際写真展」にて最優秀新人写真家賞を受賞(2019)、フランスのアルル国際写真祭「The Luma Rencontres Dummy Book Award Arles」ショートリスト入り(2019,2022)、イギリスでは『British Journal of Photography』が選ぶ今年注目の写真家に選出される(2021)など、世界各国で作品を発表し評価を得ています。
これまで、貧困や自殺の連鎖、スティグマ(特定の属性や事象への差別・偏見)といった千賀自身の身近に存在する社会問題を起点に、その問題を引き起こす社会的な構造や関係者それぞれの視点を顕(あらわ)にする作品を発表してきました。その問題や関係者に対する千賀の視点は俯瞰的であり、また数年にわたる入念なリサーチによって中立性を担保しようという姿勢が見受けられます。そして、その根底には、二元論による対立構造を回避しようとする意識や、鑑賞者が社会問題に対して当事者意識を持つことへの期待があり、作品は鑑賞者が社会や他者への想像力を働かせる端緒(たんしょ)となってきました。
千賀は写真家としてキャリアをスタートしましたが、作品は写真だけでなく、映像や書籍、装置、それらを含むインスタレーション等、その時々のテーマに対して最適な表現手法を選択しています。また、事実をただ写すことだけが問題に迫る方法ではないという考えのもと、作品はリサーチがベースでありながらも、常にフィクションが交えられています。
本展では、2019年から約3年間にわたり千賀がリサーチしてきた特殊詐欺を起点に、それを取り巻く社会構造や個々人をテーマとした新作を展示します。特殊詐欺による被害額が最大となった2014年から、千賀が初めてこのテーマで作品を発表した2021年まで、被害は減少傾向にありましたが、コロナ禍を経て2022年には8年ぶりに増加しました。その背景には社会や時代の変遷から影響を受けた個々の生活の変化があったはずであり、本展ではそこに焦点を当てた作品を発表します。
ビジネスパーソンや学生、観光客などの風貌をした様々な人が行き交う東京駅。そこからほど近いBUGで、一つの犯罪を取り巻く犯罪者、被害者、関係者の多面的な視点が顕(あらわ)になります。もしかしたら、あなたや行き交う人々にとっては、犯罪者、被害者どちらの立場も一見ゆかりのないものに感じられるかもしれません。しかし、それでも本展を見た後は、社会で生きる私たちの複雑なつながり、またお互いの影響について想いを馳せずにはいられなくなるでしょう。
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