名称:秋季企画展「雪国の炉を囲む すまいの考古学」津南町農と縄文の体験実習館 なじょもん
会期:2024年4月27日(土)〜5月26日(金)
会場:津南町農と縄文の体験実習館 なじょもん
開館時間:9:00~17:00(最終入館は16:30)
料金:無料
休館日:月曜日(月曜日が祝日の場合は翌平日)
住所:〒949-8201 新潟県津南町下船渡乙835
TEL:025-765-5511
URL:津南町農と縄文の体験実習館 なじょもん
縄文時代から人々は、イエに住み、ムラを作り、火を囲んだ暮らしをしてきました。旧石器時代の集石、縄文時代や平安時代の竪穴住居跡など、発掘調査から明らかになった「すまい」を紹介します。
「火」と人類が出会うのは、自然の発火現象と推測されます。その火を間接的に使用した経験が、「火」の効果を知識として蓄積したと推測されます。暗闇を照らす効果、身体を温める効果、モノを焼いたり蒸す効果、これが「火」の3大効果です。いつしか人類は、技術として火を起こすことを覚え、火を操ることを学びます。あるいは、自然界の精霊が人類に火を与えていることで「熱・光・モノを変化させる力」を得たと認識し、火を敬う思いやその対象が「火の精霊」として存在していた可能性を現代裸族の社会人類学の成果から推測することができます。人類は、一定の範囲で火を灯す、あるいは火を燃やす範囲を石で囲むことを始めます。すまいの「囲炉裏」の原点は、遙か遠古の旧石器時代に遡ります。移動式テントの野外に火を焚き、縄文時代になると住居内部に炉が設置されます。
鈴木牧之が秋山郷を旅して、小赤沢の福原市右衛門家に泊まった際に、座敷に「五尺四方の大きな囲炉裏」があったこと記述し、そこに長い木がくべられていた様子を錦絵で描き残しています。年間100日を越える多雪環境の本地域において、人々は、雪の荷重に耐えうる住居をつくり、冬季の「火」のための燃料材を確保し、適応してきました。
人類史の中で「火」を囲む社会的意味は重要です。誰とどのような配置で「火」を囲むのか。現代の核家族における「非囲炉裏」は、共に囲み団欒という機会が薄れ、各個人が壁を境に暖を取り、情報を個人所有し、隔離される空間を好むことが普遍化した現在、この展示を通して「火」の持つ社会的意味と意義を考える機会になれば幸いです。
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