「加藤美佳 展」 小山登美夫ギャラリー 六本木

「加藤美佳 展」 小山登美夫ギャラリー 六本木

名称:「加藤美佳 展」 小山登美夫ギャラリー 六本木
会期:2024年6月22日(土)〜2024年7月20日(土)
会場:小山登美夫ギャラリー六本木
開館時間:11:00 〜 19:00
休館日:月曜日、日曜日、祝日
オープニングパーティー:2024年6月22日(土) 17:00 から 19:00 まで
入場料:無料
住所:〒106-0032東京都港区六本木6-5-24 complex665 2F
TEL:03-4400-6716
URL:小山登美夫ギャラリー六本木

この度小山登美夫ギャラリー六本木では、作家にとって18年ぶりとなる 加藤美佳の個展を開催いたします。本展では、生活や心情の変遷とともに変化を遂げた新作の写真作品と、絵画などを自作のテーブル台の上に展示、発表いたします。
加藤美佳は、2000年愛知県立芸術大学大学院美術研究科2年に在学中、弊廊で初個展を開催しました。自身で作った粘土人形を写真で撮影し、それを元に油彩で描かれた少女像は、儚く力強く、驚くほど微細に筆致 を重ねて表現され、鮮烈なデビューをとげました
その後も水戸芸術館での個展(2001年)、ロンドンのWhite Cube /Jay Joplingでの個展(2005年)等をはじめ、国内外さまざまな展覧会に参加。2006年弊廊での個展では愛猫の死をきっかけに新たな表現への転換をみせますが、その後制作活動を一旦中断します。
しかし加藤は、三重の小さな林の中に住み、家族、飼い犬との生活の中で目にし感じたことを、時を重ねながら自らの中に熟成していきました。
愛猫のお墓があるアトリエそばの金木犀の木。毎朝散歩で見る木の表面の地衣類、ジャガイモを半分に切った断面、フライパンの中のホットケーキ、子どもの指先、雲を眺めている時、その上に絵を描く想像をしていました。
何層も貝のチップで覆った上に、30年間地元の砂浜で大事に収集した有 孔虫やウニの化石、骨や殻などを散りばめた木のオブジェ。そこに毛布をかけるように上から丁寧にメディウムを重ねており、写真作品「A Blanket for All of Us」は、それをさまざまな角度で撮影したものです。
枝の先端にある自己流で制作したガラスの玉は、まるで光をたたえてゆらめき、何かの生命が誕生する神秘的な瞬間を表わしているようです。
そのイメージの元となった愛猫のお墓がある金木犀の木は、秋になると小さな花が咲くといい、愛するものが属し、死したものと新たな生命の循環の象徴の存在として繋がっていきます。
「とらしっぽリバー(We call it Tiger’s Tail River,not that we’ve ever seen a real tiger)」は、とらのしっぽのように蛇行した巨大な木のモザイクテーブルの上に、石、木、ガラスなどを支持体に日常のささやかな場面が描かれた小さな作品が点在されています。それはまるで薄曇りの日の穏やかな川の風景のようであり、六本木の奥のスペースに大きく展開されます。
「誰かがもし、川に葉っぱが浮かんでいるような、まだ絵のない無地の石ころの上に、日々の何かを思い浮かべてくれたら嬉しいです。たとえばその誰かとは、虎を見たことがなくても虎の話で盛り上がれるような、いつかの時代のどこかの人々。川はその虎のしっぽ。」(加藤美佳の言葉より)
石は10年もの間、川の上流で拾い洗って干して地衣類を育てるように少 しずつジェッソを塗り重ね研磨したもの。 ゆで卵の上にマヨネーズをかっこよく絞り出せた、息子が足の爪を猫形 に切った、飼っている犬が真剣に回転している様子、、、自然物の支持体に描かれる日常は、まるで時代を超えた普遍的な日々の奥行きが鑑賞者それぞれの感覚に繋がっていくようです。
テーブルの材料である木のブロックは、もともと自身の息子の工作材料であり、幼い息子に問われた「戦争の反対は?」の問いは加藤の中に今も続いているといいます。
自然を生物を家族を愛し、慈しみの視点を長い時を重ねて詩的に紡いてきた加藤美佳。再び制作に向かう中で、動くと全力で過去の自分のもどきになりそうな流れを止め、自らの手を動かしまるで生命の起源をあらわすような世界観で再び前に進んでいきます。

関連記事

コメント

  • トラックバックは利用できません。

  • コメント (0)

  1. この記事へのコメントはありません。

ピックアップ記事

  1. 「動き出す浮世絵展 TOKYO」寺田倉庫G1
  2. 特別展「答志島~古代から続く海民たちの島」鳥羽市立海の博物館
  3. 「うつす美 ─ 江戸時代の絵画学習」京都府京都文化博物館
ページ上部へ戻る