夏期原画公開「障壁画再生~式台の間~」元離宮二条城

二条城障壁画 〈式台〉式台の間《花鳥図》(部分)

名称:夏期原画公開「障壁画再生~式台の間~」元離宮二条城
会期:2024年7月18日(木) 〜 2024年9月15日(日)
会場:元離宮二条城(二条城障壁画 展示収蔵館)
時間:9:00~16:45(入館は16:30まで)
   ※二条城の開城時間は8:45~17:00(入城は16:00まで)
休館日:会期中無休
料金:100円(二条城への入城料は別途必要です)
   ※京都市内在住・在学の小中学生、京都市内在住の70歳以上の方(住所・年齢を確認できる方)、各種障害者手帳等をお持ちの方は入館無料
住所:〒604-8301京都市中京区二条通堀川西入二条城町541
TEL : 075-841-0096
URL:元離宮二条城

二条城二の丸御殿障壁画(重要文化財)原画を保存・公開している二条城障壁画展示収蔵館。令和6(2024)年度の夏季展では、「障壁画再生」と題し、二条城が離宮となった際に修理・再利用された〈式台の間〉の障壁画をご紹介します。
徳川幕府の終焉により、二条城は幕府から新政府へと引き渡されました。暫くは陸軍や京都府の施設として使用された後、明治17年(1884)に皇室の別邸「二条離宮」として宮内省の管轄下に入ります。その翌年から大修理が行われ、二条城は皇室の離宮に相応しい内装へと整えられていきました。
本展で紹介する〈式台の間〉は、かつて〈遠侍〉に控えていた昇殿者が、〈大広間〉での将軍との謁見に向けて老中に取次を求めた場所とも言われ、その壁面には大小の《松図》が描かれています。
一方で、式台の間と廊下との境にはめられている腰障子には《花鳥図》が描かれていますが、これは明治の大修理の際には以前の障壁画が失われていたため、別の場所から持ち込まれた《花鳥図》の障壁画を再利用したものです。
残念ながらこの《花鳥図》が元々いつ、どの建物のために描かれたものなのかは明らかになっていません。しかし、引手の痕跡や紙継ぎを頼りに元の画面を再構成した結果、本来は襖用として描かれた春と秋の花鳥図であったことが判明しました。しかも、元は一続きの画面であったものが、〈遠侍〉芙蓉の間や〈黒書院〉帳台の間の壁面にも再利用されていることが分かったのです。
明治の大修理の際には、障壁画を担当する画工が総勢14名雇用されました。その中には、江戸時代に代々朝廷の絵所預を務めたと酒の一門や、円山派・四条派の流れを汲む職業絵師が含まれています。しかしそれ以外にも、宮内省の御殿を管理する部門の職員のうち、絵心のある者も従事したことが記録されています。彼らは、失われたり褐色した障壁画に補筆や補彩を加える仕事をしていました。式台の間の《松図》の鮮やかな松葉の緑も、恐らくこの時に補彩されたものです。
当時の障壁画の修理は現在とは手法も考え方もかけ離れていますが、離宮の宮殿として美しく整えることが最優先されたのでしょう。元の姿から形を変えて再生し、今に伝わった障壁画の数々を、この機会にご高覧ください。

二条城障壁画 〈式台〉式台の間《花鳥図》(部分)
二条城障壁画 〈式台〉式台の間《花鳥図》(部分)

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