牧田愛 「人工的神々 -Man has, as it were, become a kind of prosthetic God-」parcel

牧田愛 「人工的神々 -Man has, as it were, become a kind of prosthetic God-」parcel

名称:牧田愛 「人工的神々 -Man has, as it were, become a kind of prosthetic God-」parcel
会期:2024年9月21日(土)〜2024年10月27日(日)
会場:PARCEL
開館時間:14:00 〜 19:00
休館日:月曜日、火曜日、祝日
オープニングパーティー:2024年9月20日(金) 18:00 から 21:00 まで
入場料:無料
住所:〒103-0002 東京都中央区日本橋馬喰町2-2-1 DDD hotel 1F
URL:PARCEL

この度、PARCEL では牧田愛による待望の初個展「人工的神々 -Man has, as it were, become a kind of prosthetic God- 」を開催いたします。本展では、技術と人間の共生によって生まれた超現実的な抽象画が展示されます。
牧田の作品は、技術の進化が社会に及ぼす影響とその倫理的な使用に対する深い考察から生まれ、特に歴史的な事件や事故、技術の人為的な誤用が引き起こした悲劇が彼女の創作活動に大きな影響を与えています。技術の進歩は、利便性の追求の一方で、時としてその適用が社会に深刻な影響を及ぼすことがあります。その技術の象徴的なモノとしてのエンジンや機械機構が彼女の作品では描かれていますが、人によって設計されたのにも関わらず、意図しないエラーによって引き起こされるイレギュラーに惑わされる社会を揶揄しているように思えます。
人工知能や機械学習技術の急速な発展は今日の社会に新たな課題を生んでいます。仕事が奪われる脅威や、人工知能自体の人格化といったことが議論されていますが、牧田も他の多くの作家同様この問題に対して、これら技術(道具)としてどのように活用するかが重要であると考えており、技術の進化がもたらす新たな芸術的対話と批評的構造を提示しています。
さらには牧田が機械やエンジンを描き始めた初期からの特徴として視点の誘導が挙げられますが、画面上に立体的に絡み合っている要素はそのほとんど同一レイヤー上にあり、奥行きといった視覚的なヒエラルキーを取り除いています。特に今回の牧田の生成された画像をベースにした作品群は伝統的な⻄洋絵画における明暗や遠近によって生み出されるフォーカスポイントよりも、浮世絵にも見られる平面的に広がった視点誘導に近く、構成要素のサイズも誇張され歪められ、尺度が現実に即していないからこそよりリアルに見える機械風景を提示してくれるのです。
本展「人工的神々」では、牧田愛が Midjourney、DALL-E 2、ChatGPT などのツールを駆使ししながらもエンジンやパイプ、無機質な都市の風景など今まで同様のモチーフをベースにした作品を展示します。ただし、画像生成されたイメージと現実の間には予期せぬミストランスレーションがあり、それを巧みに取り入れながら牧田は、生成された素材に対して自らの美的・形式的基準を適用し、最終的なペインティングを創り上げるというプロセスを通じて技術、AI と人間の関係性を深く掘り下げているのです。
機械学習による画像生成技術の衝撃はカメラオブスキュラの発明に近い変革をもたらすものと言えます。景色をありのまま写すことができるカメラオブスキュラは⻄洋絵画を、その主たる目的だった写実性から解放しました。解放された絵画はその後、印象派や抽象画へと発展、写実よりオリジナルな発想が重視され始めたことは広く知られております。機械学習は、想像を画としてアウトプットするという制作においてヒトに頼っていた部分を圧倒的なスピードと量で代替するものです。まだその使い方も技術確立も定まっておらず、多くの作家が今自身の作品との適応を模索しております。機械の力を使いながらバーチャルの中でしか存在しない機械のイメージを作り出している本展「人工的神々」では、鑑賞者は二次元から四次元にわたる視覚体験を通じて、人工と自然、生命と非生命の境界を意識することができます。牧田愛の作品は、人工知能と人間の協働による美の探求を通じて、新たな美的対話と批評的視点を提供します。観る者は、技術と人間の創造性が交錯する瞬間を体感し、技術がもたらす新たな可能性について深く考える機会を得ることでしょう。

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