「消えつつ 生まれつつ あるところ」イクヤマ家

「消えつつ 生まれつつ あるところ」イクヤマ家

名称:「消えつつ 生まれつつ あるところ」イクヤマ家
会期:2024年10月19日(土)〜2024年11月18日(月)
会場:イクヤマ家
開館時間:12:00 〜 18:00
休館日:火曜日、水曜日、木曜日、金曜日
入場料:1500円
住所:〒920-0967 石川県金沢市菊川2-14-3
URL:イクヤマ家

植物には、発芽し、成長し、開花を経て、種子を残し、枯死、休眠するというライフサイクルがあります。本展「消えつつ生まれつつあるところ」では、菊川という土地に根ざす空き家群を、枯死・休眠の過程にある植物として想像します。植物が次の発芽に向けて葉を落とすように、空き家も安らかな休眠のなかにあるのかもしれません。
そしてこの秋、長く眠っていた家屋の窓がそっと開かれ、菊川にはアーティストやパフォーマーによる作品が展開されます。
本展の拠点となる昭和後期に建てられた一軒家「イクヤマ家」では、「永遠に続く今」を意味する朝鮮槇(ちょうせんまき)の葉をモチーフとした道念邦子(1944−)のインスタレーションが展示されます。
イクヤマ家向かいにある戦前の一軒家「お向かいの家」では、佐藤弘隆(1993−)によるデジタル時代の死生観と倫理をテーマとしたメディア・インスタレーション、また、羊の腸を素材にチベット仏教に基づく死生観を表現するO33(1993−)のインスタレーションが展示されます。そして菊川で滞在制作を行うマーガレット・ウィブマーは、ラブレターをモチーフに「愛」を探求する参加型パフォーマンスを行います。
昭和後期の「Kアパート」の3つの空き部屋では、田中宏和(1998−)が朽ちた部屋をそのまま作品へと変える仕掛けを作り、中森あかね(1962−)は室内で植物を育て、聖なる空間へと観客を誘います。またニック・ヴァンデルギーセン(1981−)は、令和6年能登半島地震以降の能登を撮影した写真を発表します。
昭和初期から住居兼店舗として使われていた「角の家」では、金沢を拠点とする創作ユニット、サブドキュメント(2021−)が「のこされたもの」をモチーフに演劇を行います。
築100年以上の空き家を改修した「松本家」では、生い茂る草花のなかに悠々とたたずむ不思議な少女(あるいは少年)や小動物を描いてきた下出和美(1983−)による絵画、また、庭先を流れる鞍月用水から着想を得た清水冴(1997−)の参加型作品が設置されます。
植物のように、人間も、家屋も、コミュニティも、生まれては消え、そしてまた生まれる、という循環を辿ってきました。今年初めに起こった令和6年能登半島地震において、多くの人びとが大切な人や場所を失いました。芸術にはこの喪失を癒し、希望へと変える力があるのでしょうか。私たちは芸術の創造性を通じて、植物をいたわるように、自己や他者、家屋やコミュニティをいたわることを試みます。
菊川の空き家群―消えつつ生まれつつあるところ―を舞台に繰り広げられるこの静かな営みは、次なる生の兆しを予感させることでしょう。
※展覧会タイトル「消えつつ生まれつつあるところ」はメキシコで舞踏家としての最期を全うした舞踏家・中嶋夏の舞台「消えつつ生まれつつあるもの」(中嶋夏と霧笛舎)から引用しています。
アーティスト
中森あかね、田中宏和、佐藤弘隆、下出和美、道念邦子、マーガレット・ウィブマー、ニック ヴァンデルギーセン、O33、清水冴、サブドキュメント

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