「藤田嗣治 猫のいる風景」軽井沢安東美術館

軽井沢安東美術館 (左)《ペキニーズ》(1925年 水彩、墨・紙) (中央)《猫のいる自画像》(1926年 コロタイプ・紙) (右)《夢》(1957年 リトグラフ(エリオグラヴュール、アクアチント併用)・紙)

名称:「藤田嗣治 猫のいる風景」軽井沢安東美術館
会期:2025年3月6日(木)~2025年9月28日(日)
会場:軽井沢安東美術館
時間:10:00~17:00 (最終入場時間 16:30)
休館日:水曜日 祝日の場合は翌平日
観覧料:一般 2,300円
   高校生以下 1,100円
   未就学児 無料
   ※オンラインチケット購入の場合、100円引き
   ※その他、各種割引あり
住所:〒389-0104長野県北佐久郡軽井沢町軽井沢東43番地10
TEL:0267-42-1230
URL:軽井沢安東美術館

軽井沢安東美術館
『猫十態』(1929年 エッチング、アクアチント他(マカール法)・紙)
Photo:Takahiro Maruo
軽井沢安東美術館 『猫十態』(1929年 エッチング、アクアチント他(マカール法)・紙) Photo:Takahiro Maruo

藤田にとって猫は友であり、描く対象でした。猫のいる生活は藤田が渡仏してまもなくのこと。パリで足にまとわりついてきた猫を拾い上げ、自宅に連れ帰ったのがきっかけでした。それ以降、藤田は身近な画題として猫を描き始めます。1920年代、藤田は裸婦像に猫を登場させ、繰り返し制作した自画像にも猫を描き込みました。藤田に寄り添う猫の姿は、まるで相棒のよう―。こうして猫はおかっぱ頭やロイドメガネとともに、藤田を象徴するアイコン的存在となっていきます。
1929年になると、藤田の猫はそれまでの脇役的な位置づけから抜け出します。「乳白色の下地」に通じる色合いとドライポイントやエッチング等を組み合わせた混合技法で、かわいいしぐさの猫ばかりを収めた版画集『猫十態』がパリのアポロ社から出版されました。1930年、ニューヨークのコビチ・フリード社から出版された版画本『猫の本』には、イギリスの詩人マイケル・ジョセフの詩とともに、ふんわりとした毛並みが特徴的な、藤田ならでは猫21匹が登場します。ジョセフが全ての猫に名前をつけたことで、藤田が描いた猫は個性が感じられる存在となっています。
戦後、藤田がパリに向かう際、経由地となったアメリカで1950年に出版された『夜と猫』は、小説家で詩人のエリザベス・コーツワースが綴った猫の詩に藤田がまどろむ猫の素描を寄せた、美しくも幻想的な絵本です。この頃から藤田が描く猫には類型化が見られるようになり、『夜と猫』ではクリっとした丸い目をした猫たちがページを飾っています。
《猫の教室》(1949年 油彩・キャンバス)では、擬人化された猫の先生と生徒たちが登場し、自由気ままに振舞う子どもたちと賑やかな教室の情景が描かれました。彼らは個性をまとい表情も十人十色ですが、描き方には一定のパターンが見られます。1950年代以降、藤田が描いた少女たちが「想像上の子ども」であったように、猫たちもまた、長年、猫を観察してきた藤田が理想とするオリジナルの猫だったのかもしれません。
本展では、藤田が「友」と呼び、愛しんだ猫のほか、犬や他の動物たちが描かれた作品もあわせて紹介します。藤田の作品

軽井沢安東美術館
(左)《結婚式》(1950年 油彩・キャンバス)
(中央)《天蓋の裸婦》(1954年 油彩・キャンバス)
(右)《猫を抱く若い女性》(1956年 油彩・キャンバス)
軽井沢安東美術館 (左)《結婚式》(1950年 油彩・キャンバス) (中央)《天蓋の裸婦》(1954年 油彩・キャンバス) (右)《猫を抱く若い女性》(1956年 油彩・キャンバス)
軽井沢安東美術館 (左)《ペキニーズ》(1925年 水彩、墨・紙) (中央)《猫のいる自画像》(1926年 コロタイプ・紙) (右)《夢》(1957年 リトグラフ(エリオグラヴュール、アクアチント併用)・紙)
軽井沢安東美術館 (左)《ペキニーズ》(1925年 水彩、墨・紙) (中央)《猫のいる自画像》(1926年 コロタイプ・紙) (右)《夢》(1957年 リトグラフ(エリオグラヴュール、アクアチント併用)・紙)

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