長谷川由貴 + 米村優人 「自生するキメラ」BnA Alter Museum

長谷川由貴 + 米村優人 「自生するキメラ」BnA Alter Museum

名称:長谷川由貴 + 米村優人 「自生するキメラ」BnA Alter Museum
会期:2025年1月18日(土)〜2025年3月23日(日)
会場:BnA Alter Museum
開館時間:11:00 〜 20:00
入場料:無料
住所:〒600-8024 京都府京都市下京区天満町267-1
TEL:075-748-1278
URL:BnA Alter Museum

この度 BnA Alter Museumでは、2025年最初の企画展「自生するキメラ」を開催いたします。
本展では、抑圧を内包するグリッドとそれが持つ神話の構造に着想を得て、絵画と彫刻という異なる表現媒体にて活動する二人のアーティスト、長谷川由貴と米村優人の作品を展示いたします。
ロザリンド・E・クラウスによる代表的な論考の一つ “グリッド” (1978) では、芸術領域におけるグリッドが自律性や自己目的性を表明する一方で、神話として働き、それに内在しつつも覆い隠される矛盾について語られます。
この内在する矛盾とは、それ自体グリッド的とも言える種々の創造神話を構造主義的な分析(1)をすることによって発見される”人間の起源”と関連づけられます。 “人間の起源を自生=autochthonyの過程(人は植物のように、大地から生まれた)とする初期の考え方と、両親の性的関係を取り込んだ後の考え方との間に葛藤が存在する” (2)
この葛藤はグリッドという構造の中で解決されることなく抑圧され、矛盾したまま維持・反復されていくのです。
改めまして本展「自生するキメラ」では、上述された人間の起源にある自生の過程(人は植物のように、大地から生まれた)に、人間ならざる存在としての「キメラ」(3) を差し込むことで、動物や植物そしてそのセクシャリティーなど既存の生物的・社会的カテゴリーにおけるグリッドに揺さぶりをかけ、不安定化することを意図しています。 人間中心的な価値観やものの見方をずらし、有用性といった物差しで他の生き物を測ることから逃れるために、植物という他者を通して人間そのものの在り方を問う絵画を制作する長谷川 由貴(はせがわゆき)と、人智を超えた圧倒的な存在や、自身の個人的経験に基づいた特定の人物への憧れや興味から、粘度、石、FRP など多様な素材を用い制作する米村優人(よねむらゆうと)という異なる表現媒体を用いる二人の作品が、BnA Alter Museum 1/2F 共用部にて空間的な複数のスペクトラム(4) として展開されます。
また、これに加えて、一部本展と会場を共有する特別展「多声性のトーチ」も同時開催中です。
合わせてご鑑賞・お楽しみいただけましたら幸いです。
(1)『構造人類学』C・レヴィ=ストロース/荒川幾男,生松敬三,川田順造,佐々木明,田島節夫(翻訳)/神話の構造/p228-256(2)『アヴァンギャルドのオリジナリティ ― モダニズムの神話』ロザリンド・E・クラウス/小西信之,谷川渥(翻訳)/グリッド/p28
(3) 「異質同体」を指す。ギリシャ神話中の「体の前の部分はライオン、胴の部分は山羊、後ろは蛇、口からはさかんに火炎を吹く」という想像上の動物の名(キマイラ)に由来する。 (4) 多様な分野・文脈で使用される連続体・分布範囲のことを指す語。ここでは変動している領域そのものを指す。

関連記事

コメント

  • トラックバックは利用できません。

  • コメント (0)

  1. この記事へのコメントはありません。

ピックアップ記事

  1. 「コレクション名品展 -多種多様なときめき-」須坂版画美術館・平塚運一版画美術館
  2. 「帯広美術館コレクション選Ⅲ なにげない瞬間(とき)」北海道立帯広美術館
  3. 「蜷川実花展 with EiM:彼岸の光、此岸の影」京都市京セラ美術館
ページ上部へ戻る