
名称:「響けわれらが声 法政大学大原社会問題研究所所蔵ポスターから見る戦後の労働者像」駒場博物館
会期:2025年2月1日(土)〜2025年2月24日(月)
会場:駒場博物館
開館時間:10:00 〜 17:00
休館日:火曜日
2月11日は開館
入場料:無料
住所:〒153-8902東京都目黒区駒場3-8-1
TEL:03-5454-6139
URL:東京大学大学院総合文化研究科・教養学部 駒場博物館

「思わざるまでにわが声美しき労働歌を庁舎の壁に響かす」。
これは1950年代に公務員として働いた無名の女性が残した短歌です(渡邊順三 ・信夫澄子『歌にみる日本の労働者』新評論社、1956年)。没個性的なホワイトカラ一層の代表と思われがちな公務員が、無機質な壁に囲まれた職場環境の中にあって歌う労 働歌、それが「美しく」自分の耳に響くのは、自分たちも「労働者」なのだという誇りや希望が込められていたからでしょう。
1945年の敗戦後、日本社会はあらゆる領域にわたる民主化を経験します。そこに登場した新しい「労働者」像は、戦前の労使関係を強く縛った「職員・エ員」という身分制から放たれ、自分たちの生活を守る権利を手に入れました。1950年代から60年代にかけて活発に展開された労働運動は、「戦後民主主義」の実践でもあったのです。
それでは、その中を生きた「労働者」はどのように表現されてきたのでしょうか。「労働者」という言葉が想起させる、過酷な現場労働に従事する 人々だけではなく、サラリ ー マンや事務職に携わる女性たちもまた、等しく「労働者」として登場した時代が、確かに戦後日本の一時期にはありました。それがやがて「働く夫、支える妻」という性別役割分業に集約していき、女性労働は補助的な役割を担うものとされていきます。「労働」は私たちの「生活」に直結するものであるがゆえ、その形を考えることは社会で展開される「家族」のあり方を見直すことにもなるのです。
戦前からの長い歴史を持つ法政大学大原社会問題研究所が所蔵する労働組合・労働運動関連ポスタ ーから見える「労働者の声」は、戦後80年の現在を生きる私たちに何を伝える でしょうか。本展示は、多業種の労働組合・労働運動関連ポスタ ー約40点を通して、これまでの「労働者」像を浮かび上がらせ、そこに込められた希望の形を皆さんに伝えたいと思っています。
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