
名称:柳澤紀子「動物のことば ・ いのち」鎌倉画廊
会期:2025年3月22日(土)〜2025年5月17日(土)
会場:鎌倉画廊
開館時間:11:00 〜 17:30
休館日:月曜日、日曜日
4月29日、5月5・6日は休廊
5月3日は開廊
入場料:無料
住所:〒248-0031 神奈川県鎌倉市鎌倉山4-1-11
TEL:0467-32-1499
URL:鎌倉画廊
この度、鎌倉画廊では2025年3月22日(土)から5月17日(土)まで柳澤紀子の個展「動物のことば ・ い の ち」を開催いたします。
柳澤紀子(1940年静岡県生まれ)は、日本を代表する版画家・画家の一人です。東京藝術大学大学院美術研究科油画専攻を修了後、1970年代にニューヨークのプリントメーキングワークショップで制作、国際的な視野を持った作家として活動を続けてきました。その作品は、確かな版画技術のうえに、社会問題や歴史的事象を独自の視点で表現する力強さで知られています。1990年代には文化庁派遣芸術家としてロンドンに滞在し、2000年代には武蔵野美術大学で後進の指導にも尽力しました。現在は静岡県掛川市のアトリエで制作を続けています。
柳澤の作品は、現実と幻想、抽象と具象が交錯する独自の世界観を構築しています。特に、動物や自然をモチーフにした作品が多く、それらを通じて人間の愚かさや自然の尊さを表現しています。作家は、東日本大震災やチェルノブイリ原発事故、ウクライナ侵攻など、現代社会が直面する深刻な問題をテーマにした作品を数多く手がけてきました。これらの作品は、動物たちの姿を通じて、人間の責任や社会の在り方を問いかけます。
柳澤の代表作である「動物のことば」シリーズは、現地に度々取材に行き、福島の避難区域で置き去りにされた牛たちや、チェルノブイリで逞しく生きる動物たちに着想を得たものです。これらの作品は、離れた場所や時代で起こった悲劇を結びつけ、人類共通の課題として提示します。例えば、《動物のことば海の庭 I, II》は、ビキニ環礁の核実験を暗示し、《動物のことば 北緯72°90°》は、ウクライナ侵攻後の状況を抽象的に表現しています。これらの作品は、戦争や災害によって傷ついた自然や動物たちの姿を描きながら、観る者に深い感銘を与えます。
近年、柳澤は羊皮紙や雁皮紙などの支持体を用い、作品に直接着彩するドローイングを手がけています。これらの新作は、版画とは異なる質感と表現力を備え、作家の新たな挑戦を示しています。例えば、《静かに草を食む》はイスラム教の祭礼で生贄として捧げられる羊をモチーフとした作品で、羊皮紙が使われています。作品には共同体や命の連鎖を考えるメッセージが込められており、作家は歴史的な視座と神話性を融合させ、現代社会の課題を普遍的なテーマとして昇華させます。柳澤の作品は、国内外で高い評価を受けており、これまでにイスラエルのティコティン日本美術館、静岡県立美術館、上海半島美術館、ルーマニア国立美術館、浙江美術館などで個展を開催しています。また、多くのパブリックコレクションに作品が収蔵されており、東京藝術大学大学美術館、埼玉県立近代美術館、静岡県立美術館、ティコティン日本美術館、サークレーギャラリースミソニアンなどでその作品を見ることが出来ます。
本展では、柳澤紀子が過去5年間に取り組んだ作品群を展示します。特に、東日本大震災やチェルノブイリ原発事故、ウクライナ侵攻など、現代社会が直面する深刻な問題をテーマにした作品が中心です。作家は、これらの問題を「動物」や「自然」を通じて表現し、人間と環境、戦争と平和の関係を問いかけます。

コメント
トラックバックは利用できません。
コメント (0)
この記事へのコメントはありません。