春の特別展「書物がひらく泰平―江戸時代の出版文化―」国立公文書館

春の特別展「書物がひらく泰平―江戸時代の出版文化―」国立公文書館

名称:春の特別展「書物がひらく泰平―江戸時代の出版文化―」国立公文書館
会期:2025年3月20日(木・祝)~2025年5月11日(日)
会場:国立公文書館
時間:9:15~17:00
休館日:会期中無休 
観覧料:無料
住所:〒102-0091東京都千代田区北の丸公園3-2
TEL:03-3214-0621
URL:国立公文書館

春の特別展「書物がひらく泰平―江戸時代の出版文化―」国立公文書館
春の特別展「書物がひらく泰平―江戸時代の出版文化―」国立公文書館

江戸時代に確立された印刷技術は、大量印刷や増刷、挿絵の追加、多色刷りなどを可能にし、近世文学の多彩な表現を可能としました。こうして文化が花開く一方で、江戸時代は厳しい出版統制が敷かれ、人気の書き手たちはもちろん、出版を手がけた本屋も処罰されるなどの事件も起きます。そこには出版をめぐる複雑な歴史的背景がありました。本展では江戸時代の出版文化に着目し、近世文学作品を中心に、江戸時代に特徴的な版本の数々を紹介します。
◆主な展示資料
新刊吾妻鏡(伏見版)
(しんかんあづまかがみ(ふしみばん))
『吾妻鏡』は、鎌倉時代の歴史書。鎌倉幕府が公的に関わった編纂物と推定されています。源氏挙兵の治承4年(1180)から文永3年(1266)までの87年にわたる幕府の歴史を日記体で記述しています。
展示資料は、慶長10年(1605)3月、徳川家康(とくがわいえやす、1542~1616)が征夷大将軍の職を辞す直前に出版されたもので、家康の命を受けた閑室元佶(かんしつげんきつ、1548~1612)が制作したものです。閑室元佶(三要(さんよう)元佶とも)が伏見の円光寺の開山となったことから、彼が手がけた出版物には、「伏見版」の通称があります。内務省旧蔵。
御触書(おふれがき)
『御触書』とは江戸幕府が編集した幕府法令集です。展示箇所は、享保7年(1722)11月、江戸で出された5箇条からなる書物出版に関する「御触」。今後出版する書物への新説・異説掲載の禁止や、新規出版書物へ作者と本屋の実名を奥書に記載する事などが明記されています。本法令は幕末まで江戸・大坂・京都における出版界の基本法となりました。展示資料は紅葉山文庫旧蔵。
日本国開闢由来記
(にほんこくかいびゃくゆらいき)
日本の由来について、『古事記』(こじき)『日本書紀』(にほんしょき)の記述を抄出して「読本」(よみほん、中国の伝奇小説の影響を受けた長編の読み物)として仕立てたもの。天孫降臨(てんそんこうりん)から聖徳太子(しょうとくたいし)の登場までが描かれています。作者の平野元良(ひらのげんりょう、1790~1867)は江戸両国薬研堀(やげんぼり)に開業した医者です。絵師は武者絵を得意とした奇才歌川国芳(うたがわくによし、1797~1861)で、本書の出版は、国芳人気にあやかったものと思われます。展示資料は万延元年(1860)版、昌平坂学問所旧蔵。

新刊吾妻鏡
新刊吾妻鏡
日本国開闢由来記
日本国開闢由来記
御触書
御触書

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