「スケッチーズ|八瀬の石黒さん家から見た世界」京都精華大学ギャラリー Terra-S
- 2025/6/28
- 京都府
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名称:「スケッチーズ|八瀬の石黒さん家から見た世界」京都精華大学ギャラリー Terra-S
会期:2025年6月27日(金) 〜 2025年8月3日(日)
会場:京都精華大学ギャラリー Terra-S
時間:11:00~18:00
休館日:日曜日 (ただし、8/3(日)はオープンキャンパスのため開場)
料金:無料
住所:〒606-8588 京都市左京区岩倉木野町137
TEL:075-702-5263
URL:京都精華大学ギャラリーTerra-S

京都洛北の八瀬を拠点に作陶した陶芸家・石黒宗麿(1893-1968)。現在、彼の自宅兼アトリエ「八瀬陶窯」は、京都精華大学が管理を行っています。本展は京都精華大学が行っている「八瀬陶窯プロジェクト」の一環として開催するもので、陶芸・建築・庭景・集古・玩具の5つのチームの研究者が「スケッチ」を通して石黒の見た世界を追想します。
陶芸家 石黒宗麿の家は、八瀬の端っこにある。石黒さんは、よく縁側に腰を下ろし、庭を見ながら思索に耽っていたという。ここからどんな景色を見ていたのだろう。正面には比叡山の山並み、庭では妻のとうさんが菜園をし、犬たちが駆け回っている。季節ごとに梅や桜、柿、椿が色づき、鳥たちがさえずる。麓の街道に目を向けると、大八車を引く人々や柴を担いだ女性たちが行き交う。
石黒さんのスケッチブックには、そんな八瀬の景色が何枚も描かれている。けれど、その膨大なスケッチを見ていると、八瀬という土地の風土や風習を描きながらも、ここではないどこかの景色を描いているようにも思えてくる。というのも、スケッチの多くは景色を写生したものではなく、皿や壺に合わせた図案へと展開されているからだ。石黒さんは、山あいの八瀬での暮らしを描き留めることで、どこでもない世界を描き出そうとしたのかもしれない。
とはいえ、残されたスケッチを眺めているだけでは、どうして石黒さんがそれらの景色を描いたのかが分からない。そこで、学内外の作家や研究者に声を掛け、石黒さんが暮らした「八瀬陶窯」でしばらく時間を過ごすことにした。家屋や庭の掃除をしたり、縁側に座って地元の方から話を聞いていると、ふいにそのスケッチが描かれた背景が見えてくる。そうやって石黒さんとの対話を重ねていると、いま、ここから見える世界を描いてみたくなってきた。
本展では、石黒さんのスケッチをはじめ、陶芸・建築・庭景・集古・玩具という5つのチームが描き出したスケッチたちをお見せしていく。(中村裕太/美術家)
石黒宗麿
1893年富山県生まれ。1935年、京都洛北・八瀬に自宅兼工房「八瀬陶窯」を築窯、以来終生の拠点とする。中国や朝鮮の古陶磁に肉迫しつつも独自のエスプリを持った陶芸家として知られ、1955年に鉄釉陶器の技法による重要無形文化財保持者(人間国宝)に認定された。1956年には財団法人八瀬陶窯を設立、「八瀬陶窯」を後進の育成・研究の場として提供した。1963年紫綬褒章を受章、同年没。
石黒の没後「八瀬陶窯」は関係者管理を経て2003年より京都精華大学が管理者となり、2018年に京都精華大学伝統産業イノベーションセンターにて「八瀬陶窯プロジェクト」を発足。2023年には工房の在る家屋を修繕し、実地的な石黒宗麿の研究拠点として運用している。
参加作家
【陶芸チーム 】木村隆(釉薬研究)、田中大輝(陶芸家)、中村裕太(美術家)
【建築チーム】惠谷浩子(風景学)、諏佐遙也(模型製作)、本橋仁(建築史家)
【庭景チーム】石川知海(御庭植治)、山本麻紀子(アーティスト)
【集古チーム】菊地暁(民俗学)、松元悠(版画家・美術家)、麥生田兵吾(写真家)
【玩具チーム】尾崎織女(日本玩具博物館学芸員)、軸原ヨウスケ(デザイナー・玩具工芸社)、長友真昭(玩具作家・玩具工芸社)、山名伸生(玩具蒐集家)











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