「魅惑のガラス世界展」信州高遠美術館

「魅惑のガラス世界展」信州高遠美術館

名称:「魅惑のガラス世界展」信州高遠美術館
会期:2025年11月1日(土)〜2026年1月30日(金)
会場:信州高遠美術館
開館時間:9:00〜17:00
休館日:火曜日、年末年始(12月28日〜1月3日)
入場料:一般500円、高校生以下・18歳未満・障がい者手帳提示および付き添い1名無料
住所:〒396-0213 長野県伊那市高遠町東高遠400
TEL:0265-94-3666
URL:信州高遠美術館

概要:
「魅惑のガラス世界展」は、日本ガラス工芸界の第一人者であり“熔壌ガラス(ようじょうガラス)”の創始者・江副行昭の作品と、沖正一郎コレクションより寄贈された中国の伝統工芸「鼻煙壺(びえんこ)」を併せて紹介する特別展である。ガラスという素材のもつ光と透明性、そして造形の深遠な魅力を多角的に体感できる構成となっている。

江副行昭(1930–2012)は、溶融したガラスと金属や鉱物などを融合させる独自の技法「熔壌ガラス」を確立した革新者である。彼の作品は、自然の地層や火山活動を思わせる有機的な構造と、透過する光の複雑な反射を特徴としており、ガラスを単なる器物から“彫刻的な芸術”へと昇華させた。日本のガラス工芸に新たな地平を開いたその試みは、現代工芸の枠を超え、生命と大地のエネルギーを封じ込めた造形詩として評価されている。

一方、沖正一郎コレクションに含まれる「鼻煙壺」は、清朝時代の中国で発展した香煙草入れであり、玉・瑪瑙・象牙・ガラスなど多様な素材で作られた精巧な美術工芸品である。微細な彫刻と絵付けにより、中国工芸の粋を極めた逸品が揃い、東洋の美の象徴的存在として、江副作品との対照を通して異文化の美意識を浮かび上がらせている。

本展は、「熔壌」と「透徹」という二つの異なるガラス表現の出会いを通じ、素材がもつ“光の詩学”を再発見する試みである。人の手と炎が生み出した奇跡の物質=ガラス。その内に宿る偶然と必然の美を、静謐な展示空間で堪能することができる。

作家略歴:
【江副行昭(えぞえ ゆきあき/1930–2012)】
長崎県出身。東京芸術大学工芸科卒業後、ガラス造形の新しい可能性を探求。1970年代に独自の技法「熔壌ガラス」を確立し、ガラスと金属の融合による独創的な造形で注目を集めた。日本工芸会正会員。日展や日本伝統工芸展などに出品。国内外で高く評価され、国際ガラス展などにも多数出品。ガラスを用いた彫刻的表現の先駆者として知られる。

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