「豊烈哀号」関口美術館 東館

名称:「豊烈哀号」関口美術館 東館
会期:2025年11月18日(火)~2026年1月31日(土)
会場:関口美術館 東館
開館時間:11:00~16:00
休館日:月曜日、年末年始
入場料:東館 一般1,500円/学生800円、本館・東館共通 一般2,700円/学生1,500円(受付は本館にて)
住所:〒134-0083 東京都江戸川区中葛西6-15-7
TEL:03-3869-1992
URL:関口美術館 東館

概要:
本展「豊烈哀号」は、画家・村上肥出夫を中心とした情熱と哀切の芸術表現を主題とし、川端康成がその絵画に寄せた形容「豊烈哀号」を出発点に、時代を生きた芸術家たちの精神の軌跡をたどる企画展である。川端が用いた「豊烈哀号」という言葉には、燃え盛るような激情と、同時に深い悲哀が込められており、それは昭和初期から戦中・戦後の激動をくぐり抜けた芸術家たちの共通した魂の響きでもあった。

村上肥出夫の作品は、厚く塗り重ねられた絵具の層と、紅蓮のように燃える色彩によって、観る者に強烈な生命の記憶を刻みつける。その筆致は「生の証」であり、同時に「苦悩の叫び」でもある。彼が描いた人物像や風景には、存在そのものが震えるような感情の揺らぎが宿り、観る者の心を直撃する。

本展では、村上をはじめ、同時代に「豊烈哀号」の精神を体現した画家・彫刻家たちの作品もあわせて展示し、芸術における「情熱と悲哀の表現」を多面的に捉える。特に関口美術館が所蔵する関連資料や、同時代の文学者・詩人たちとの往復書簡などを通して、彼らが抱いた「創造の苦悩と祈り」に光を当てる構成となっている。

また、関連イベントとして12月7日(日)13:00~14:00には、彫刻家・川村兼章氏と関口美術館館主・関口雄三氏によるトークイベント「柳原義達の彫刻を語る」が開催される。柳原義達の彫刻に息づく生命感と精神性について語られるこの企画は、本展のテーマ「豊烈哀号」とも呼応する内容となっており、芸術における「生と死」「希望と絶望」の二重奏をさらに深く理解する契機となるだろう。

「豊烈哀号」は、単なる形容を超えた「時代の情念」である。芸術家たちは、その激情を絵具に、彫刻に、詩に刻みつけた。彼らの創作は、悲しみを昇華し、痛みを美に変え、静寂の中に燃える光を見出そうとする営みだった。燃え立つ赤、沈む群青、ざらつくマチエール――それらの痕跡は、今もなお、観る者に「生きること」の激しさと哀しさを語りかける。

作家略歴:
村上肥出夫(むらかみ ひでお)
1910年代に生まれ、戦前・戦後を通じて独自の重厚な画風を確立。川端康成や高村光太郎ら文学者にも高く評価され、「情熱の画家」と称される。戦中は従軍画家として活動し、帰国後は人物や風景を主題に内省的な作品を制作した。晩年には抽象的要素を取り入れながらも、常に「生の実感」と「人間の哀しみ」を描き続けた。

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