「若江漢字 絵画という問い-I」カスヤの森現代美術館

若江漢字《ある晴れた日》2010年

名称:「若江漢字 絵画という問い-I」カスヤの森現代美術館
会期:2025年11月15日(土)~2026年2月23日(月・祝)
会場:カスヤの森現代美術館
開館時間:10:00~17:30(最終入場17:00)
休館日:月曜日・火曜日・水曜日、冬期休館(2025年12月22日~2026年1月3日)
入場料:一般800円 学生600円 小学生400円
住所:〒238-0032 神奈川県横須賀市平作7-12-13
TEL:046-852-3030
URL:カスヤの森現代美術館

若江漢字《探査と遁走》2019-2020年
若江漢字《探査と遁走》2019-2020年

概要:
本展「若江漢字 絵画という問い-I」は、1960年代後半から国内外で精力的に活動を続ける美術家・若江漢字の近年の絵画作品に焦点を当て、現代における「絵画とは何か」という根源的な問いを提示する試みである。若江は写真やインスタレーションなどを通じて、「視覚とは何か」「世界をどう見るか」を哲学的に探究してきた作家であり、その作品は時代ごとの社会状況や思想の変化を反映しながら展開してきた。

若江漢字《アトリエの画家》2018年
若江漢字《アトリエの画家》2018年

彼にとって絵画とは、単なる再現の技術ではなく、「見る」ことそのものを問うための装置である。絵画を通して、私たちがどのように世界を認識し、何を見ようとしているのかを考える契機を提供する点に、その本質的な意義を見出している。この視点は、若江がしばし語る「教育教材としての芸術」という理念にもつながる。かつて絵画が宗教や歴史を伝える多層的な役割を担っていたように、彼の作品は現代社会における知覚と意味の再構築を目指している。

若江漢字《解読された聖母被昇天としての「大ガラス」、さえも》2017-18年
若江漢字《解読された聖母被昇天としての「大ガラス」、さえも》2017-18年

本展では、西洋美術史の名画や宗教画を引用しつつ、それらを「本歌取り」のように再構成した画中画の手法が注目される。これらは過去の絵画への敬意ではなく、絵画という制度そのものを批判的に再考するための実験である。古典的なモチーフを現代の文脈に呼び戻し、その上に社会的・思想的なレイヤーを重ねることで、若江は「見る」という行為の構造を多面的に露呈させる。

若江の絵画は、記号や構図、色彩の背後に潜む視覚的秩序を可視化し、鑑賞者に絵画そのものを“問う”体験を促す。そこでは、現代における感覚の変容、知覚の分断、イメージの氾濫といった問題が、美術史と現代社会のあいだを往還しながら静かに浮かび上がる。

若江漢字《ある晴れた日》2010年
若江漢字《ある晴れた日》2010年

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