「遠距離現在 Universal / Remote」国立新美術館

エヴァン・ロス《あなたが生まれてから》2023年、展示風景:「あなたが生まれてから」ジャクソンビル現代美術館、2019年 © Evan Roth, courtesy of the MOCA Jacksonville Photo by Doug Eng

名称:「遠距離現在 Universal / Remote」国立新美術館
会期:2024年3月6日(水)~2024年6月3日(月)
会場:国立新美術館
時間:10:00~18:00 ※毎週金・土曜日は20:00まで
   ※入場は閉館の30分前まで
休館日:火曜日 ※ただし4月30日(火)は開館
観覧料:一般 1,500円
   大学生 1,000円
   ※高校生、18歳未満の方(学生証または年齢のわかるものが必要)は入場無料
   ※障害者手帳を持参の方(付添の方1名含む)は入場無料
   ※チケット情報は後日、国立新美術館ホームページ等でお知らせします
住所:〒106-8558東京都港区六本木7-22-2
TEL:03-5777-8600(ハローダイヤル
URL:国立新美術館

井田大介《誰が為に鐘は鳴る》2021年
© Daisuke Ida, courtesy of the artist
井田大介《誰が為に鐘は鳴る》2021年 © Daisuke Ida, courtesy of the artist

コロナ禍の日常生活の中で私たちが感じるようになった、ソーシャル・ディスタンシングによる緊張感、医療不足、より不安定となった雇用など、社会/経済全般における諸問題は、決して今に始まったことではありません。むしろ、ウイルスと同様に、パンデミックという状況によってよりはっきりと明るみに出た、世界各地の人々が同時に共有する問題と言えるでしょう。
人、資本、情報が世界規模で移動する20世紀後半以降のこれまでの社会は、2010年代より本格化したスマートデバイスの普及とともに、オーバーツーリズム、生産コストと環境負担の途上国への転嫁、情報格差など、それぞれのグローバルな移動に伴う問題を抱えたまま2020年を迎えました。そして、同じく国境のないパンデミックの発生により、人の移動には不意のストップがかかったものの、資本と情報の移動が止まる気配はありません。かえって、資本や情報の本当の姿が、垣間見えているようにも思えます。豊かさと貧しさ。強さと弱さ。私たちの世界のいびつな姿はますます露骨に、あらわになるようです。
展覧会タイトル「遠距離現在」は、ソーシャル・ディスタンシングや非対面コミュニケーションといったコロナ禍社会の条件はもちろんのこと、資本と情報が世界規模で移動する今世紀の状況をふまえたものでもあります。展示予定作品の多くは2020年以前のものですが、監視システムの過剰や精密なテクノロジーのもたらす滑稽さ、また人間の深い孤独を感じさせる作品群は、今の時代、あるいはこれからのポストコロナ時代の世界と真摯に向き合っているようにも見えます。
本展は、全世界(Pan-[全…, 汎… の意])の規模と、非対面の遠隔(Remote)という二つの視点から、グローバル資本主義やデジタル化社会といった現代アートにおける従来のテーマを新たに捉えなおすものです。1.「Pan- の規模で拡大し続ける社会」、2.「リモート化する個人」の構成からなる本展では、このような社会的条件が形成されてきた今世紀の社会の在り方について取り組んできた作家の作品をご紹介します。
◆ 出品作家
井田大介 Daisuke Ida
徐冰( シュ・ビン ) Xu Bing
トレヴァー・パグレン Trevor Paglen
ジョルジ・ガゴ・ガゴシツェ + ヒト・シュタイエル+ミロス・トラキロヴィチ Giorgi Gago Gagoshidze+Hito Steyerl+Miloš Trakilović
地主麻衣子 Maiko Jinushi
ティナ・エングホフ Tina Enghoff
チャ・ジェミン Jeamin Cha
エヴァン・ロス Evan Roth
木浦奈津子 Natsuko Kiura

徐冰(シュ・ビン)《とんぼの眼》2017年
© Xu Bing Studio, courtesy of the artist
徐冰(シュ・ビン)《とんぼの眼》2017年 © Xu Bing Studio, courtesy of the artist
トレヴァー・パグレン《米国家安全保障局(NSA) が盗聴している光ファイバーケーブルの上陸地点、米国ニューヨーク州マスティックビーチ》2015年
© Trevor Paglen, courtesy of the artist; Altman Siegel, San Francisco; Pace Gallery, New York
トレヴァー・パグレン《米国家安全保障局(NSA) が盗聴している光ファイバーケーブルの上陸地点、米国ニューヨーク州マスティックビーチ》2015年 © Trevor Paglen, courtesy of the artist; Altman Siegel, San Francisco; Pace Gallery, New York
トレヴァー・パグレン《軍人のいない戦争(コーパス:目の機械)敵対的に進化した幻覚》2017年
© Trevor Paglen, courtesy of the artist; Altman Siegel, San Francisco; Pace Gallery, New York
トレヴァー・パグレン《軍人のいない戦争(コーパス:目の機械)敵対的に進化した幻覚》2017年 © Trevor Paglen, courtesy of the artist; Altman Siegel, San Francisco; Pace Gallery, New York
ジョルジ・ガゴ・ガゴシツェ、ヒト・シュタイエル、ミロス・トラキロヴィチの共同制作《ミッション完了:ベランシージ》2019年
展示風景:「ヒト・シュタイエル」ノイエ・ベルリナー・クンストフェライン(n.b.k.)、2019年
Courtesy the artists; Neuer Berliner Kunstverein, Berlin; Andrew Kreps Gallery, New York; Esther Schipper, Berlin
Photo © Neuer Berliner Kunstverein (n.b.k.) / Jens Ziehe
ジョルジ・ガゴ・ガゴシツェ、ヒト・シュタイエル、ミロス・トラキロヴィチの共同制作《ミッション完了:ベランシージ》2019年 展示風景:「ヒト・シュタイエル」ノイエ・ベルリナー・クンストフェライン(n.b.k.)、2019年 Courtesy the artists; Neuer Berliner Kunstverein, Berlin; Andrew Kreps Gallery, New York; Esther Schipper, Berlin Photo © Neuer Berliner Kunstverein (n.b.k.) / Jens Ziehe
地主麻衣子《遠いデュエット》2016年
© Maiko Jinushi, courtesy of HAGIWARA PROJECTS
地主麻衣子《遠いデュエット》2016年 © Maiko Jinushi, courtesy of HAGIWARA PROJECTS
ティナ・エングホフ《心当たりあるご親族へ――男性、1954年生まれ、自宅にて死去、2003年2月14日発見》2004年
© Tina Enghoff, courtesy of the artist
ティナ・エングホフ《心当たりあるご親族へ――男性、1954年生まれ、自宅にて死去、2003年2月14日発見》2004年 © Tina Enghoff, courtesy of the artist
チャ・ジェミン《迷宮とクロマキー》2013年 © Jeamin Cha, courtesy of the artist
チャ・ジェミン《迷宮とクロマキー》2013年 © Jeamin Cha, courtesy of the artist
木浦奈津子《こうえん》2023年 © Natsuko Kiura, courtesy of the artist Photo © EUREKA
木浦奈津子《こうえん》2023年 © Natsuko Kiura, courtesy of the artist Photo © EUREKA
エヴァン・ロス《あなたが生まれてから》2023年、展示風景:「あなたが生まれてから」ジャクソンビル現代美術館、2019年
© Evan Roth, courtesy of the MOCA Jacksonville
Photo by Doug Eng
エヴァン・ロス《あなたが生まれてから》2023年、展示風景:「あなたが生まれてから」ジャクソンビル現代美術館、2019年 © Evan Roth, courtesy of the MOCA Jacksonville Photo by Doug Eng

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