所蔵作品展「中村研一の往還 都市、郊外、道の向こう」小金井市立はけの森美術館

所蔵作品展「中村研一の往還 都市、郊外、道の向こう」小金井市立はけの森美術館

名称:所蔵作品展「中村研一の往還 都市、郊外、道の向こう」小金井市立はけの森美術館
会期:2024年3月24日(日)〜5月12日(日) 
会場:小金井市立はけの森美術館
観覧料金:一般200円
休館日:月曜日
住所:〒184-0012東京都小金井市中町1-11-3
TEL : 042-384-9800
URL:小金井市立はけの森美術館

今からおよそ百年前の、1923年9月1日に発生した関東大震災では、建物にも甚大な被害が及んだ。罹災後、復興によって近代的大都市としての東京の風景が形づくられていった。
実はこの大震災時、洋画家・中村研一は日本を離れていた。当時彼は20代後半、その年の2月念願のフランス留学を叶えていたのである。第一次世界大戦終結後のパリには日本人洋画家が多く滞在しており、その一人として、中村も画家としてステップアップを実現しつつあるところだった。――そうしたパリの中村が、故国大震災の報に接し、何を思ったかは残されていない。しかし東京には、東京美術学校以降、彼がずっとアトリエとしていた明治神宮近くの居宅があった。ここは、震災時も無事だったようだ。その後、1928年にフランスから帰国した中村はこの居宅で新婚生活をスタートさせた。
この住まいが失われるのは、太平洋戦争末期のこと。当人が疎開中に空襲で焼失、その中にあった戦前からの作品なども失われた。疎開先から戻る先を失った中村夫妻は知人のつてで、「はけ」にやって来ることになり、この地で、終生までを過ごした。
中村研一は時代の変遷を、都市と郊外の往き来として、目に映る風景の変化として体験した――と言えるかもしれない。本展タイトルの「往還」には、こうした思いを込められているが、その往還につれて、画家としての中村だけでなく、目的地自体も移り変わっていったのだ。
人生が一本の道のようなものであるとするならば、中村研一の「画家としての人生」の道の向こうには、何があったのか。展示を通じて想いを馳せてみてほしい。

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