桑原史成写真展「韓国の多彩な仮面- 庶民の風刺劇 -」桑原史成写真美術館

桑原史成写真展「韓国の多彩な仮面- 庶民の風刺劇 -」桑原史成写真美術館

名称:桑原史成写真展「韓国の多彩な仮面- 庶民の風刺劇 -」桑原史成写真美術館
会期:2021.7.16~2021.10.13
住所:〒699-5605島根県鹿足郡津和野町後田71-2
TEL:0856-72-3171
URL:桑原史成写真美術館

桑原史成写真美術館の今回の展示は「韓国の多彩な仮面-庶民の風刺劇-」を展示します。
 このたびの展示は、韓国で人気の高い民衆が演じる素朴な仮面劇と、それに使用される多彩な仮面を紹介、展示することにした。
 最初に韓国の歴史について、近世までの1000年に特化して解説させていただく。現在の韓国は、かつては朝鮮国で日本が統治していた36年間(1910年〜1945年)と日本の敗戦の後、勃発した朝鮮戦争で国土は北朝鮮と韓国に分断されて現在に至っている。
 その朝鮮国の約1000年の歴史は、専制政治で西暦の918年から1392年まで34代で474年間が続く高麗王朝で、次は李朝(李氏朝鮮王朝)が1392年から1897年まで505年間、27代が続いた。ちなみに日本の徳川幕府は家康から慶喜まで15代、262年である。
 朝鮮の高麗、李朝の先制政治の年数を合算すれば979年になる。この約1000年に近い歴史で専制の政治は、一部の特権階級と、多くの民衆は平民で社会は二つの身分制度で天と地の開きがあった。李朝時代には、さらに身分制度が進み権力者はより豊かに、また横暴になっていった。仮面劇は、このような社会状況の中で登場してきた。虐げられた平民たちは仮面を被って、権力者や裕福な人達の身の振る舞いなどにケチを付ける。言わば平民たちの憂さ晴らしである。時には若い女と浮気をする亭主も槍玉に挙げられる。痛烈な世相の風刺劇とも言われる。
 現在では舞台でも演じられるが、本来は人の集まる村の広場(マダン)などで笛と打楽器で演じられ、見物の観客から盛大な声援が飛ぶ。高麗、李朝時代の百姓や商売を“賎民”と言う言葉で言い、権力者の家系を両班(ヤンバン)と言い、両者間の縁談は不可であった、と伝えられる。平民(賎民)が、両班になれる機会が1つある。科挙試験で、その壁を越えるのは至難の競争率であった。貧しい者が、豊かになれる「科挙試験」の発想は現代の韓国社会で根強く生きていて、一流の大学に子息を入れようとする受験戦争である。
 ここに展示の写真の映像だけで、笑みや感嘆などの反応があるとも思えない。しかし、韓国(朝鮮)の古代の人たちが愚痴を言い、反骨と意を示しながら1000年を生き抜いてきた不屈の生き方があった事を知って頂きたい。
報道写真家 桑原史成

関連記事

コメント

  • トラックバックは利用できません。

  • コメント (0)

  1. この記事へのコメントはありません。

ピックアップ記事

  1. 「第十四回 I氏賞受賞作家展」岡山県立美術館
  2. わが街ながのゆかりの作家展 中村明個展「混ポジション」長野市芸術館
  3. 「東京造形大学 写真研究所 ―ミクロな視点とマクロな視点―」BankART KAIKO
ページ上部へ戻る