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名称：特集展示「富士山 花と雲と湖と」半蔵門ミュージアム
会期：2026年1月17日（土）〜2026年5月10日（日）
会場：半蔵門ミュージアム
開館時間：10:00〜17:30（最終入場17:00）
休館日：月曜日・火曜日
入場料：無料
住所：〒102-0082 東京都千代田区一番町25
TEL：03-3263-1752
URL：半蔵門ミュージアム

概要：
「特集展示 富士山 花と雲と湖と」は、日本を象徴する山・富士を多様な視点から描いた名品を集めた企画展である。古来より日本人の信仰・美意識・詩情の対象であり続けてきた富士山は、その崇高さと美麗な姿によって、あらゆる時代の画家たちの創作意欲をかき立ててきた。本展では、「花」「雲」「湖」という三つの自然要素を組み合わせた表現を軸に、富士の象徴性と画家たちの個性を再検証する。

展示作品は、横山大観、田崎廣助、片岡球子といった文化勲章受章者を筆頭に、笹島喜平（版画）、川﨑春彦、岡信孝、木村圭吾、平松礼二（日本画）、野田好子、櫻井孝美（洋画）ら10名の画家による15点で構成される。同じ富士を主題にしながらも、構図・筆致・色彩の解釈はそれぞれに異なり、花や雲や湖とともに描かれることで、富士の多層的な魅力が浮かび上がる。

白富士・赤富士・逆さ富士・ダイヤモンド富士など、四季折々・一日の刻々に変化する姿は、自然の摂理と人間の感性を結びつける象徴であり、古くは『伊勢物語』や『聖徳太子絵伝』『一遍聖絵』などにも登場した。江戸の葛飾北斎『冨嶽三十六景』に代表されるように、富士は日本絵画史を貫く永遠のモティーフであり、近代以降も横山大観・田崎廣助・片岡球子らが新たな視覚的解釈を与え続けた。
本展は、そうした連綿たる富士表現の系譜を辿りながら、自然と人間、伝統と創造の間に広がる美の精神を体感する機会となる。来場者は、花の彩り、雲の流れ、湖面の映り込みなどを通じて、画家それぞれの「心の富士山」に出会うだろう。

作家略歴：
【横山大観（1868–1958）】近代日本画の巨匠。日本美術院の創設に関わり、「朦朧体」と呼ばれる独特の画法で霊峰富士を多く描いた。
【田崎廣助（1898–1984）】風景画家。雄大な自然を明快な構図と明るい色彩で表現し、富士山や阿蘇などを主題とした。文化勲章受章。
【片岡球子（1905–2008）】大胆な構図と強烈な色彩による富士山シリーズで知られる。生命感あふれる筆致により女性画家として新境地を開いた。
【笹島喜平（1910–1996）】日本を代表する木版画家。独自の抽象的構成で自然の光と影を描く。
【川﨑春彦（1931–）】日本画家。富士山を題材としつつ、光と風の中に存在する生命的リズムを追求。
【岡信孝（1926–2002）】繊細な筆致と柔らかな色彩感覚で日本の自然美を描いた。
【木村圭吾（1949–）】伝統的日本画技法を用いながら現代的構図を探求。
【平松礼二（1941–）】琳派の装飾性を現代的に昇華し、自然の息づかいを鮮やかに描く。
【野田好子（1940–）】洋画家。詩的な感性で富士山を幻想的に描く。
【櫻井孝美（1953–）】現代洋画家。柔和な色彩と構築的空間感覚により、静謐な富士の姿を描出。