鬼海弘雄写真展「PERSONA―坂東玉三郎」FUJIFILM SQUARE(フジフイルム スクエア) 写真歴史博物館

坂東玉三郎「鶴の巣ごもり」1976年 ©Hiroh Kikai

名称:鬼海弘雄写真展「PERSONA―坂東玉三郎」FUJIFILM SQUARE(フジフイルム スクエア) 写真歴史博物館
会期:2026年1月5日(月)~2026年3月31日(火)
会場:FUJIFILM SQUARE(フジフイルム スクエア) 写真歴史博物館
開館時間:10:00〜19:00(最終入場 18:50、最終日は16:00まで)
休館日:会期中無休
入場料:無料
住所:〒107-0052 東京都港区赤坂9-7-3
TEL:03-6271-3350
URL:FUJIFILM SQUARE(フジフイルム スクエア) 写真歴史博物館

坂東玉三郎「通夜物語」1976年 ©Hiroh Kikai
坂東玉三郎「通夜物語」1976年 ©Hiroh Kikai

概要:
「鬼海弘雄写真展『PERSONA―坂東玉三郎』」は、日本の写真史に残る名シリーズ「PERSONA」の原点を探る貴重な展覧会である。本展では、写真家・鬼海弘雄(1948–2020)がプロとして世に出る以前、1976年に撮影した五代目・坂東玉三郎の姿を収めた未公開のヴィンテージプリントおよびモダンプリント計25点を初公開する。
撮影は1976年5月から11月にかけて行われた。玉三郎26歳、鬼海31歳──歌舞伎の若き名手が西洋演劇や近代劇に挑み、新たな舞台表現を模索していた時期である。鬼海は玉三郎の兄の依頼で全国各地の公演に同行し、その舞台裏と舞台上の両方にレンズを向けた。劇的な照明のもとに浮かぶ玉三郎の姿、舞台裏での素顔、その眼差しに宿る緊張と自由――鬼海のカメラは、俳優の存在そのものを凝視している。

坂東玉三郎 楽屋 1976年 ©Hiroh Kikai
坂東玉三郎 楽屋 1976年 ©Hiroh Kikai

このとき暗室で焼かれたプリントは、長く鬼海の手元で眠っていた。晩年、病床の鬼海がそれらの作品を再び見つめ、40年の歳月を経て自身のサインを施したことにより、今ようやく「記憶の光」として甦ることとなった。本展では、彼の代表作「PERSONA」に至る美意識の形成過程を追いながら、肖像写真が持つ「記録」と「存在」の二重性を浮かび上がらせる。

坂東玉三郎「盟三五大切」1976年 ©Hiroh Kikai
坂東玉三郎「盟三五大切」1976年 ©Hiroh Kikai

坂東玉三郎が演じたマクベス夫人、三島由紀夫『近代能楽集』の登場人物たちなど、今なお伝説として語られる舞台の瞬間が、鬼海の静謐な眼差しによって永遠化されている。人物の表層を超えて“人格=ペルソナ”を写し取る彼の視線は、現代においてもなお強い示唆を与える。

坂東玉三郎「マクベス」1976年 ©Hiroh Kikai
坂東玉三郎「マクベス」1976年 ©Hiroh Kikai

作家略歴:
【鬼海弘雄(きかい ひろお)】
1948年山形県生まれ。写真家。日本大学芸術学部写真学科卒業後、東京・浅草で人々の肖像を撮り続けた代表作「PERSONA」で広く知られる。1970年代から国内外で個展を開催し、2003年には同作で第22回土門拳賞を受賞。浅草の群衆を通して「匿名の存在の美」を追求した。晩年は「印度」「Tokyo Portraits」などでも注目を集め、独自の人間観察の哲学を築いた。2020年没。

坂東玉三郎「鶴の巣ごもり」1976年 ©Hiroh Kikai
坂東玉三郎「鶴の巣ごもり」1976年 ©Hiroh Kikai

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