前田育徳会尊經閣文庫分館-特別陳列「加賀藩の美術工芸Ⅱ」石川県立美術館

前田育徳会尊經閣文庫分館-特別陳列「加賀藩の美術工芸Ⅱ」石川県立美術館

名称:前田育徳会尊經閣文庫分館-特別陳列「加賀藩の美術工芸Ⅱ」石川県立美術館
開催期間:2020年11月19日(木) ― 2020年12月20日(日)
開館時間:9:30 ― 18:00(入場は17:30まで)
会期中無休
会場:前田育徳会尊經閣文庫分館
住所:〒920-0963石川県金沢市出羽町2-1
TEL:076-231-7580
URL:石川県立美術館
   「加賀藩の美術工芸Ⅱ」では、国宝《類聚国史(るいじゅうこくし)》から巻一六五と巻一七七を紹介します。
 《類聚国史》とは、『日本書記』『続日本紀』など奈良平安時代につくられた6つの史書、通称「六国史(りっこくし)」の記事を、編年体(年代順に記すこと)ではなく、内容によって分類編集した書物です。編者は菅原道真で、「神祇(じんぎ)」「帝王」「後宮(こうきゅう)」「人」「歳時」「音楽」など十六部が今日確認されています。
 巻一六五は「瑞祥(ずいしょう)」部の上にあたり、前半には「日」「月」「星」「雲」「雨」「露」「雪」といった天候に関する記載が並びます。太陽のまわりにかさができたこと、太陽の下の雲がまるで龍のようであったことなどと記されており、さまざまな自然現象が、吉祥の前兆として捉えられていたことがわかります。後半には「鶏」「雁」「鷹」「雀」「鷹」などの鳥が、いつどこから献上されたかを記します。古代より鳥類はめでたい献上品として重宝されていたのです。
 巻一七七は「仏道(ぶつどう)」部の四にあたり、「仁王会(にんのうえ)」「御斉会(ごさいえ)」「維摩会(ゆいまえ)」など法会の記述が続きます。さまざまな法会は国家安泰を祈願するうえで、欠かせない行事でした。例えば、数年前から流行り出した疫病に悩む貞観7年(865)2月には、国が衰弊して長いことから、国を護り、民を安心させようと般若経を講ずべく仁王会が催されたと記されています。
前田家は菅原道真を家祖としたことから、道真に係る文書典籍の収集に励みますが、古代の歴史書から治世者が学ぶべき事柄も多かったとうかがえます。

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