佐藤翠 「Floating Drapery – 浮遊するドレーパリー 」小山登美夫ギャラリー

佐藤翠《Floating Dahlias Closet Ⅰ》 2022 acrylic and oil on canvas 227.3 x 162.0 cm ©Midori Sato

名称:佐藤翠 「Floating Drapery – 浮遊するドレーパリー 」小山登美夫ギャラリー
会期:2022年4月2日(土)~2022年4月30日(土)
開館時間:11:00 〜 19:00
休館日:月曜、日曜、祝日
入場料:無料
会場:小山登美夫ギャラリー
住所:〒106-0032 東京都港区六本木6-5-24 complex665 2F
TEL:03-6434-7225
URL:小山登美夫ギャラリー

Yellow closet Ⅱ 2020 acrylic and oil on canvas 130.7 x 194.0 cm ©Midori Sato
Yellow closet Ⅱ 2020 acrylic and oil on canvas 130.7 x 194.0 cm ©Midori Sato

この度小山登美夫ギャラリーでは佐藤翠展「Floating Drapery – 浮遊するドレーパリー 」を開催いたします。本展では2mを超える大作を含めた、新作ペインティングを発表いたします。
佐藤翠の作品といえば、色とりどりの服が掛かったクローゼット、高いヒールの靴が並ぶシューズラック、カーペット、鮮やかな花々、果物。多くの人が美しいと感じるだろうそれらのモチーフを、佐藤は心から愛してストレートにその憧憬を描き、鮮やかな色彩とイマジネーションを重ねた現代的な優雅さ、空想の世界として絵画に表現しています。
しかし佐藤作品の魅力は、その具象的な綺麗な側面のみでなく、大画面をダイナミックに操る筆づかいや卓抜な絵画構成にもあると言えるでしょう。また、興味深い側面として、同じモチーフを繰り返し描きながらも、描き方が彼女のその時々の心境や見たものから得た感動によって、変化していく点があります。
またパリで本格的に花の作品も追求し、ブーケやバラ園などを描き、それを経て、クローゼットにも花を投入するようになりました。
昨年2021年には、自宅の庭の植物から発想を得、花達がハンガーや洋服に絡み合い、吊られているクローゼット作品を発表。
今回の新作では、実際にダリア園で見たダリアの、幾重にも重なるドレスのような花びら、ポンポンと可愛らしく連なる装飾性、風にそよぐ姿を目にした時の感動がインスピレーションとなり、ドレスが生まれています。また画材も初期はアクリル絵具のみで描いていたのに対して、途中から油絵具を併用したり、油絵具のみで描くように変わっています。
彼女ならではのモチーフで惹きつけつつ、その時々の新鮮な表現で観る人を飽きさせない。新作ではクローゼットが、花がどう変化しているのだろうという楽しみを生み出します。
そのありそうでなかったオリジナリティ溢れる世界観は、多くのコレクターや美術関係者、企業やクリエイターからも評判を呼びます。
2019年ポーラ美術館アトリウム ギャラリーでの個展「Diaphanous petals」や、2015年資生堂ギャラリーでのグループ展「絵画を抱きしめてEmbracing for Painting -阿部未奈子・佐藤翠・流麻二果展-」のほか、2017年コスメブランド「RMK」とのコラボレーションによるメイクアップキット販売や、2013年芥川賞受賞作家・中村文則の小説『去年の冬、きみと別れ』(幻冬舎)の装画など、活動が多岐にわたるのも大きな特徴といえるでしょう。
今回の新作「Floating Dahlias Closet」シリーズでは、ついにクローゼット自体が空へ舞い上がります。
本展タイトルにある「ドレーパリー」は、「ギリシャ彫刻や絵画などに見られる優美な布のひだ」の意味。2019年から描く「女神シリーズ」は、ドレスを着たマネキンにギリシャ彫刻の女神像を連想して始まり、新作の空と雲のドレス、自身こだわりのバラを描いた「Cloud Dress and Rose」に繋がっています。
また、ボッティチェリ作品の女神達が纏う、花が散りばめられ透けるようなドレスにも影響を受け、クローゼットの空間性から、ドレスの布そのものの動きの美しさにも着目するように変化しています。
作品の中で洋服や花が浮遊し、風にたなびき、雲が流れていく。観る者はまるで春の風に包まれているように感じるでしょう。
時を経て同じモチーフが異なる表情を生み出していく様は、まるで登場人物が様々に成長していく長編物語のようです。複数の作品を同時進行して描き、作品同士が相互関係によって生まれているため、展示全体が物語の世界のページをめくるようでもあります。佐藤はクローゼットを描き始めたきっかけとして、大学3年時のフランスの交換留学で学生寮で1人暮らしをし、初めて自分の世界が確立したような気がして、小さな部屋の小さなクローゼットを描き始めたと語っています。自分の世界のはじまりである、小さなクローゼットが、花開き、空に羽ばたく。クローゼットは佐藤の心象風景であり、また作家自身の成長、変化の証とも言えるでしょう。
洋服の優美なひだ、花、空、雲、古代から人々を魅了するモチーフが、佐藤の手により現代にまた新たな表現として提示されます。

佐藤翠《Floating Dahlias Closet Ⅰ》 2022 acrylic and oil on canvas 227.3 x 162.0 cm ©Midori Sato
佐藤翠《Floating Dahlias Closet Ⅰ》 2022 acrylic and oil on canvas 227.3 x 162.0 cm ©Midori Sato
Cloud Dress and Rose Ⅴ 2022 acrylic and oil on canvas 130.5 x 97.1 cm ©Midori Sato
Cloud Dress and Rose Ⅴ 2022 acrylic and oil on canvas 130.5 x 97.1 cm ©Midori Sato

関連記事

コメント

  • トラックバックは利用できません。

  • コメント (0)

  1. この記事へのコメントはありません。

ピックアップ記事

  1. 「第十四回 I氏賞受賞作家展」岡山県立美術館
  2. わが街ながのゆかりの作家展 中村明個展「混ポジション」長野市芸術館
  3. 「東京造形大学 写真研究所 ―ミクロな視点とマクロな視点―」BankART KAIKO
ページ上部へ戻る