名称:「札幌三越90周年記念 ~重要無形文化財保持者~ 十四代 今泉今右衛門展」札幌三越
会期:2022年5月18日(水) ~ 2022年5月23日(月) ※最終日、午後6時終了【入場無料】
場所:札幌三越 本館10階 催事場
住所:〒060-0061 札幌市中央区南1条西3丁目-8
TEL: 011-271-3311(代表)
URL: 札幌三越
この度、札幌三越開店90周年を記念し、人間国宝・十四代今泉今右衛門展を開催いたします。
14代の今泉今右衛門先生は、2014年に51歳の若さで重要無形文化財「色絵磁器」の保持者(人間国宝)に認定され、本年還暦を迎えられます。当代は独自の作風を追及され、その多様な技法による、新しい技術や意匠に取り組み、日本を代表する有田焼を今に生きる工芸作品として国内はもとより海外へも広く発信し、国内外で高い評価を得ています。札幌では8年ぶりとなる本展は、堂々たる迫力を備えた花瓶から愛らしい香炉まで、進化を遂げた新作を一堂に展覧いたします。
今泉今右衛門家は江戸時代に鍋島藩の御用絵師として、幕府への献上品の制作に携わり、代々、色鍋島を継承してきました。元来大名道具として造られた色鍋島は、故事に因んだ果実や季節を感じさせる草花などを主なモチーフとした、格調高い色絵付を特徴としています。当代は父・13代の確立した染付吹墨・薄墨吹墨を取り入れながら、繊細な白の世界を表現する「雪花墨はじき」や、上品な輝きを加える「プラチナ彩」などの技法を探求し、色鍋島の新境地に果敢に挑戦しています。現代工芸を牽引する陶芸作家の目を見張る技術力と洗練された感性が結集した逸品の数々を、ぜひこの機会にご高覧賜りますようご案内申しあげます。
◆墨はじき
「墨はじき」とは、江戸期から鍋島ではよく使われた白抜きの技法である。技法の手順としては、まず墨で文様を描き、その上を染付でぬる。すると墨に入っている膠分が撥水剤の役目をし、墨で描いた部分が染付の絵具をはじく。その後、素焼の窯で焼くと墨が焼き飛び白抜きの文様が現れるという、染織のろうけつとよく似た技法である。鍋島では、この「墨はじき」による白抜きを、主文様を引き立たせるための脇役の表現方法として使うことが多い。「墨はじき」による白抜きの技法は、線描きされた部分と比べるとやさしい控えめな印象を与える。鍋島ではその特性を活かし、主文様を引き立たせるために、この「墨はじき」が背景に使われることが多い。一見すると染付で描かれた場合と同じように見えるのであるが、あえて一手間二手間かけて「墨はじき」の技法を用い、背景を控えめにする。鍋島らしい神経の遣い方である。
目に見える所に神経を遣うのは当然であるが、この「墨はじき」のような、目に見えない所に神経と手間を惜しまない感覚が鍋島の高い品格を創り上げる一因になっているのではないかと思われる。 私はこの控えめではあるが、奥深い「墨はじき」の魅力に惹かれ、江戸期に遣われた
「墨はじき」の技法だけでなく、さまざまな角度・方法をもって、十四代として現代の色鍋島を表現すべく制作に挑んでいます。
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