名称:「朝鮮王朝の白磁と水墨画」高麗美術館
会期:2022年09月01日(木) 〜 2022年12月11日(日)
会場:高麗美術館
時間:10:00~16:30(入館は16:00まで)
休館日:水曜日(ただし、11/23(水・祝)は開館)
料金:一般:500円
大学・高校生:400円
中学生以下無料
住所:〒603-8108京都府京都市北区紫竹上岸町15
TEL:075-491-1192
URL:高麗美術館
朝鮮王朝が誇る芸術である白磁と水墨画。これらは朝鮮における文人文化を象徴するものです。今回の展覧会では、この白磁と水墨画が飾る空間と文人文化を紹介します。
白磁は、朝鮮王朝時代(1392-1910)の中で連綿と作られました。15世紀には王宮専用の器とされ、16世紀には広州一体(現在の京畿道広州郡)に王室用の陶磁器を製造する官営工場「分院」が設置されました。しかし16世紀末~17世紀前半に壬辰・丁酉倭乱(文禄・慶長の役)、丙子胡乱が勃発し、政治・経済が低落、分院も一時閉業してしまいます。
その後17世紀後半には戦乱の傷痕が癒え、より朝鮮らしさを求める文化が花開いていきました。白磁は全国的に広まり、18世紀には乳白色の白磁や青花・辰砂・鉄砂が施された装飾も登場。19世紀には儒教社会の必需品として白磁性の文房具が量産されました。
絵画の世界においては、水墨画が中国からもたらされ、15世紀に最も発展しました。16世紀~17世紀前半の政情不安定な時代を経て、花鳥画をはじめ抒情的な墨竹、梅、葡萄などをモチーフにした特色ある朝鮮画が多数描かれました。
また、この時代に台頭した実学の影響は後期の朝鮮文化発展における大きな原動力となり、実在の山河を独自の画風で表現した「真景山水」の他、生活画や風俗画と呼ばれる同時代の人々の姿を描いた作品が数多く生まれました。その後中国の南宋画が大勢を占める時代があり、その中で個性的な画家たちが斬新で異色な画風を創造しました。
白磁や水墨画の普及において重要だったのが、文人(儒者)の存在です。儒教に基づいた国づくりを進めていた朝鮮では、儒教を収めた官僚(両班/ヤンバン)による社会階層が形成され、独自の工芸や絵画の文化が発展しました。両班の理想像と言うべき高潔で研鑽を重ねた文人は士大夫(ソンビ)と呼ばれ、奢侈を廃した空間・舎廊房(サランバン)で芸術を愛し談論を交えました。そこには常に白磁と水墨画が側に置かれていました。
今回の展覧会では、一色の白磁の多様な変化、墨の濃淡が広げる世界から、質素倹約を重んじながらも豊かな感性の中で生きた、朝鮮時代の文人たちの生活空間をお楽しみいただければと思います。
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