「いち盌のいのり 加藤高宏」名古屋栄三越

1 暁志野茶盌 銘「姫虎」(ひめとら) 13.8×13.8×9.0cm

名称:「いち盌のいのり 加藤高宏」名古屋栄三越
会期:2022年10月12日(水) ~ 2022年10月18日(火)
場所:7階 特選画廊 ※最終日午後4時終了
住所:〒460-8669 名古屋市中区栄3-5-1
TEL: 052-252-1111
URL: 名古屋栄三越

2 志野茶盌  銘「御雷」(みかづち)  13.5×13.5×11.4cm
2 志野茶盌 銘「御雷」(みかづち) 13.5×13.5×11.4cm

いち盌のいのり 加藤高宏
厳しい時代であるという。
起きていることだけをみるなら、
まだまだ闇のなかに光は見出せていない、
と言えるのかも知れない。
ずいぶん前のことだが、
クラッシクギター制作家である友人に問われたことがある。
土から作られる茶盌が、
そこに生命を吹き込まれるのはいったいどの段階であるのかと。
彼によれば、
ひとつの木片から何ヶ月かを経て作られる、
楽を盛る器であるギターに命が吹き込まれるのは、
やはり弦を張られ最初の一音が鳴らされた時なのだという。
なるほど、ひとつの土塊から、これも何ヶ月かを経て作られる、
茶を盛る器である茶盌に命が吹き込まれるのは、
最初の茶が注がれ喫される時であるといえる。
うつ(空)の、わ(輪)である器は、
そこに盛られるべきものが盛られてこそ生命を得る。
陶の茶盌であれば、
もとより千二百度の炎にさらされた時、
制作者のそれまでの思惑や「意」は、
とうに清められているとも言える。
「私」という小さな命は火に洗われる。
いち盌に新たな命が宿るのは、
最初の一服が喫される時である。
その時、そのいち盌が「ことば」を語りだす。
そして、そのいち盌に「銘」が与えられる。
というより、いち盌が自ずから名を名乗る。
そこに、そのいち盌の「意」が乗っている。
聖書に、
はじめに「ことば」があった、とある。
「ことのは」と大和言葉で云い
「言葉」と漢語で云い
「コトバ」と外来語をあらわす。
大和に生きてきた人々の、
心の空間と時間を軽々とつらぬき、
いち盌が語り出す時、
そのいち盌をもたらした、
「私」を超えた大いなる「意」を知る。
いち盌は「意」に乗っている。
「い」に「の」る。
いち盌は「祈っている」のだ。
「はじめにことばがあった
ことばは命であり
人をてらす光であった
闇はこれに勝たなかった」
      ヨハネの福音書

黒織部茶盌  銘「斑鳩」(いかるが)  13.2×13.2×11.4cm
黒織部茶盌 銘「斑鳩」(いかるが) 13.2×13.2×11.4cm
唐津茶盌  銘「銀河」(ぎんが)  13.5×13.5×9.0cm
唐津茶盌 銘「銀河」(ぎんが) 13.5×13.5×9.0cm
志野茶盌  銘「銀狼」(ぎんろう)  13.8×13.8×8.1cm
志野茶盌 銘「銀狼」(ぎんろう) 13.8×13.8×8.1cm
 黄瀬戸茶盌  銘「古都」(ふると)  13.2×13.2×10.2cm
黄瀬戸茶盌 銘「古都」(ふると) 13.2×13.2×10.2cm
1 暁志野茶盌 銘「姫虎」(ひめとら) 13.8×13.8×9.0cm
1 暁志野茶盌 銘「姫虎」(ひめとら) 13.8×13.8×9.0cm

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