「版画の〈うつす〉」東京アートミュージアム

若林奮

名称:「版画の〈うつす〉」東京アートミュージアム
会期:2022年7月9日〜2022年12月25日
会場:東京アートミュージアム
入場料:一般 500円
   大高生 400円
   小中学生 300円
開館時間:11時~18時30分(入館18時まで)
休館日:月・火・水
住所:〒182-0002 東京都調布市仙川町1-25-1
TEL:03-3305-8686
URL:東京アートミュージアム

彦坂尚嘉
彦坂尚嘉

うつす。漢字では「写す」「映す」「移す」などと表記して、各々で意味が異なります。
「写す」は「文書・絵などを元のとおりに書き取る」、「映す」は「反射や投影などによって物の形や姿を他の物の表面に現す」、「移す」は「位置や地位を変える」といった意味で用いられます。しかし、言葉を使おうとすると、どの漢字をあてるべきか迷うことが多々あります。実際には、これらは明確に切り分けられないところがあるのです。それは〈うつすもの〉と〈うつされるもの〉の関係が、微妙なニュアンスの違いをもちながら、多様に絡まりあっているからだと思われます。
美術作品の場合、抽象的であれ具象的であれ、観念的であれ実在的であれ、定着されたあるイメージ(像)が視覚的に伝えられることになります。このイメージを生み出し、定着させる方法はアーティストごとにさまざまであり、それが美術表現の豊かな広がりをつくりだします。〈うつす〉の多様性はこの豊かさに導かれるものと言えます。特に版画技法を用いる表現では、〈うつす〉の多様性はさらなる展開を見せることになります。技法のもたらす制約や版元(プリンター)との関係が表されるイメージにフィードバックされるからです。
本展に出品される五人のアーティストは、いずれも、絵画や彫刻などを手がけてきた作家であり、版画を中心に制作を行ってきたわけではありません。だからこそ、ここでの〈うつす〉の意味はより重層的になります。1枚の版画のなかに見られる〈うつす〉の多様な意味を考えることから、「版画を見ること」と「版画を通して(何かを)見ること」の面白さを発見していただければと思います。

辰野登恵子
辰野登恵子
舟越桂
舟越桂
若林奮
若林奮

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